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第3回 タバコと呼吸器疾患 |
長期間の喫煙は呼吸器に悪影響を与え、肺癌やCOPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)などの原因になると言われて いる。このうちCOPDという疾患群は、現在肺気腫、慢性気管支炎、およびその中間型の疾患の総称となっている。云うまでもなく、喫煙がその原因で、進行 すると体動時の息切れが高度となる。
偉大な名優と言われた植木等さんにはじめてお会いしたのは1997年の11月下旬であった。当時私は岡山大 学医学部三朝分院(現三朝医療センター)に勤務していたが、「体動時の息切れが年々強くなってきて、舞台での仕事がしづらくなってきた」ということで、わ ざわざ私の勤務している三朝までおいでになったのである。
診察させていただくと、丁度風邪を引いていたこともあって、呼吸音も弱く、呼吸困難が起こりやすい状態にあ り、いわゆるCOPDと判断された。呼吸困難の程度がやや強いため、直ちに入院の上治療を行う必要がある旨お伝えしたが、当時NHKの朝の連続テレビドラ マ「甘辛しゃん」の撮影中で、翌年の1月中旬まで待って入院予定とせざるを得なかった。当時の3朝分院では、気管支喘息やCOPDの患者さんが全国から大 勢おいでになって、温泉プールでの水中運動、背中への鉱泥湿布療法、ヨードゾルの吸入療法などを含めた温泉療法が盛んに行われていた。
それから私と植木さんとの2人3脚での病気の治療が始まった。準備期間を入れて数カ月の舞台や映画撮影が終 了すると、ただちに三朝へおいでになり「体の手入れと病気の治療のため数カ月間の入院加療」の繰り返しであった。入院中は週末を除き、夕方7時頃病室を訪 れ、その日の体の調子や出来事などをお聞きするのが私の日課になっていた。
とにかく礼儀正しい人で、病院内で出会った人ごとに会釈をして通り過ぎられるし、少し調子の悪そうに見える 患者さんに出会った時などは、あの患者さんはどのような状態ですか? と心配して私に尋ねられることが常であった。そして、夕方からの植木さんとの会話は 多くの場合数時間は続き、その都度植木さんの人間の豊かさや広さ、そして、奥行きの深さに圧倒された。別れ際の言葉は、いつも「人間感謝の気持ちを忘れて はいけません」であった。
その植木さんも昨年なくなられた。私の心の中にできた大きな空洞はまだそのままの状態で今も残っている。植木等さん、長い間の暖かいご指導本当に有難うございました。
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