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格差・不安定社会を越える
第2回 学校現場と正規・非正規(上)
龍井葉二(連合非正規労働センター)

非正規労働者の増大は、学校現場においても、非常勤講師の増加、給食や学校事務などの分野における広がり、さらに教え子たちやその親たちの仕事の問題として深刻さを増している。

もちろん非正規雇用問題は今に始まったことではない。アルバイト、パート、非常勤で働く人は昔からいた。で は、いまは何が変わったのか? 1つは量的な変化で、雇用労働者全体の3分の1にも達したこと。もう1つは質的な変化で、約10年間にわたって正社員が減 り続け、正社員に代わって非正規労働者が増えたことから、正社員と同じ業務を担う非正規労働者、そして、生計費の主たる担い手である非正規労働者が増えて いることである。アルバイトやパートの仕事で生計を立てたり、子どもを育てたりすることなど、今までは想定されていなかった。その想定されなかった事態が 現に起きている。それが貧困やワーキング・プアといった社会問題を引き起こしている。

非正規労働者として働くことは、周知のように、賃金が低く雇用が不安定といったことにとどまらない。教育訓練や社会保険の適用除外、将来にわたる格差の固定化、高い未婚率や子どもの教育格差なども指摘されている。

だが、それだけではない。非正規で働く多くの人は、名前で呼ばれることもなく、いつでも交換可能、使い捨て 可能な労働力として位置づけられ、その仕事に意義を感じたり、きちんと評価されることもない。つまり、経済的な貧困に劣らず深刻なのは、仕事を通じて、一 人の人格として扱われ、評価されることがない、相互に承認し合える「居場所」がないという、いわば社会的な貧困なのである。確かに賃金の高い仕事もあれ ば、低い仕事もある。しかし、仕事は単なる食い扶持ではない。その仕事をみんなが必要とし、その価値を相互に認め合うという営みであるはずだ。

10数年前、連合本部で中小労働対策を担当していた際に、こんな話を聞かされた。ある教員が、職場見学で生 徒たちをある中小企業に連れていった際に、「みんな、ちゃんと勉強しないとこんな仕事をすることになっちゃうよ」と言ったというのだ(今なら、非正規労働 者になっちゃうよ、とでも言うのかも知れない)。

こうした発言は、今の教育現場でも有り得ることなのだろうか? 確実なのは、こうした刷り込みの「成果」と して、例えば、中小製造業や3K(キツイ、汚い、キケン)の仕事が貶められ、忌避されると同時に、差別されたり人間扱いされないことが、もっぱら本人の能 力や努力の欠如としてとらえられてしまうという事態である。

かつての差別は身分差別であり世襲であった。それを打破するものであったはずの学校教育が、身分差別にかわ る職業の序列化・ランクづけを生み出し、世襲にかわって「自己責任」意識を植え付けているとしたら、どうだろう。果たしてこうした状況を克服していく道は 残されているのだろうか? 

(つづく)

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