奥井 禮喜(月刊ライフビジョン発行人)
2008年9月31日個人にせよ組織にせよ、活動を推進するためにはPlan・Do・Checkの循環を精緻丁寧に繰り返すこと が大切である。学力テストはいわばCheckに相当する。いささかヒステリックな学力問題批判が登場して、鳴り物入りで全国学力テストが2度行われたが、 その効果を認める声はほとんどない。ものごとの理解能力や知識の応用力が物足りないという結果だが、こんなことは調査しなければ確認できないというような 性質の問題ではない。
1980年代後半、多くの企業が好業績を背景に、おりから流行となったコーポーレート・アイデンティ ティ(CI)を導入した。社長から組織末端の社員までが、企業の社会的使命を考え、再確認し、各自の使命を明確にして、組織を挙げて企業活動に取り組もう という狙いである。ところが、ほとんどの企業が経営コンサルタントに依頼して! CI活動を展開した。コンサルタントは社員意識調査・社内聞き取り調査な どを行い報告書作成した。膨大なお金を投じて、変わったのは会社のロゴマークやキャッチコピーであった。対外的イメチェンに成功した会社は少なくなかった が、新人が入社して全然違う会社に入ったみたいとか、騙された、などの苦い笑いを提供してくれた。社長から組織末端社員まで全員が取り組むという基本を考 えなかった。儲かったのはコンサルタント会社だけである。似たような話で、学力テストの明確な効果があったのは受託企業である。
学力は生徒各人の課題である。自動車教習所が、いかに優秀な指導員と車両を用意したとしても、運転技術を磨 くのは練習生であって、指導員が運転するのではない。たぶん、優秀な指導員は練習生の個性を見抜き、注意すべきことを注意し、弱点を繰り返し練習させて克 服させるように支援するのであろう。勉強の真骨頂は「考える」ことだ。しかし、勉強の大切さを子ども時代から理解している訳がない。いや、立派な大人にし ても、勉強の大切さに気づく人が多いとは思えない。辺りを見渡して、思索する人が多数派であろうか。知識を増やし考える愉快に気づかせる、これこそ教師の 崇高な仕事の核心である。それを支援するのが教育界スタッフ部門の仕事ではなかろうか。
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