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第9回 栄養過多と病気 |
世はまさに飽食時代である。食べ過ぎによっていろいろの病気が引き起こされている。そのことは、多くの人々 が自覚しているにもかかわらず、旺盛な食欲を抑えきれないでいる。食べ過ぎによって何が起るか? その代表的な疾患は、メタボリック症候群であることは言 うまでもない。この症候群では、腹部内臓脂肪が糖尿病をはじめいろいろの代謝異常を引き起こすことで知られている。
食べ過ぎないし栄養の偏った食事を続けることによって、最近ではいろいろの病気を抱えた人が増加しつつあ る。人間の消化管を進化論から考えれば、「人間の腸は羊の腸とほぼ同じで、草食動物の腸に類似している 栄養価の低い草類を食べるため吸収の効率を上げる ため腸の長さが長い。したがって、栄養価の高い食品(動物性食品や豆類など)を取り過ぎると、栄養過多となりやすい。また、羊の食べる食物には適応できて も、ライオンなどの肉食動物の摂取する食物には適応し得ない」と言える。そして、それは消化管のみでなく、酸性物質の処理機能でも同様のことが言える。す なわち、人間は肉類などの酸性物質の処理機能は、肉食動物と比べて極端に弱いことが知られている。摂取する食物の酸度が高いかどうかは、尿の酸度(pH) を測定すればすぐわかる。肉類などの酸性食品を多く食べる人の尿の酸度は高く(pH:5〜5.5)、一方、アルカリ性食品である野菜類を多く摂取する人の 尿の酸度は低い(pH:6.5〜7.0)ため、その人がどのような食事をしているかは一目瞭然である。
したがって、自分の腸を健康に保ちたい人は、肉類の摂取はできるだけ控えたほうが良い。食物に対する腸の適 合性は、若い時にはわかりにくいが、加齢とともにはっきりと出始める。そして、米国型の食事内容に変化してきた近年、日本人に起りつつある最も大きい変化 は、大腸癌が明らかに増加しつつあることである。加齢、特に50歳以上の人の腸の動物性食品に対する適応能力は、かなり低下していると考えなければならな い。
動物性食品、特に肉類の取り過ぎによって大腸癌が増えつつあるが、その他、高脂血症(高コレステロール血 症、高中性脂肪血症)、さらにはそれに引き続いて起る脂肪肝や動脈硬化症、肥満症や糖尿病、痛風など、さまざまな病気が、栄養の取りすぎから発症している ことを、今一度真剣に考えておく必要があるように思われる。
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