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第15回 お坊ちゃまシンドローム(症候群) |
やたらと何々シンドロームとかの言葉を安売りするのは、ぼくの趣味に反する。だが、今の政治家を見ていると「お坊ちゃまシンドローム」とでも呼びたくなることがある。今回総理を辞任した鳩山由紀夫氏や岡田外務大臣などがそうだ。親が大金持ちである。だからこせこせしない。見るからに育ちがいい。ひねくれたところがない。お行儀がいい。気持ちがやさしい。だが、政治の世界では、それだけでは通用しない。国際社会は仲良しクラブではない。ケンカの一つもできないようでは、まともな外交交渉はできない。
普天間基地問題では、気持ちの優しいお坊ちゃまは、沖縄の人の苦痛を何とか軽減しなければ、と思ったのだろう。そして人がいいから、アメリカにお願いすれば、向こうも「はいはい」ということを聞いてくれるだろうと思った。
だが、向こうはお坊ちゃまではない。基地は戦争で得た権益ぐらいの感覚でしかない。口では友好だの信頼だの、口当たりのいい言葉をならべても、銜えた獲物を絶対に放そうとしない狼のようなものだ。とはちょっといいすぎ、ブルドッグくらいかな。
一か八か、ケンカに出て、相手をゆするくらいでなければ、基地を全面返還させることなどできはしない。向こうは向こうで日本の安全保障のためにも沖縄は必要だという。そこでお坊ちゃまはなるほどと思ってしまう。
「なにいってやんで、日本のためには一割ぐらいしか使われていないだろ、現実には、沖縄の海兵隊は九割がイラクやアフガニスタンとの間を行ったりきたりしているんじゃねえの。それをみんな日本、というより沖縄に押し付けて、いいと思っているの」と、穴をまくれないのがお坊ちゃま。「穴をまくる」なんて言葉、上品に育てられたお坊ちゃまは、おそらく知らないだろう。「漢字文化を共有する中国の方が、日本人には親密感があるのだ。日中同盟に切り替えて安全保障を考えてもいいのだぜ。少しはこっちの言い分を聞けや」と脅してもいい。アメリカにとっては、まだまだ日本が必要だ。だから譲歩を引き出せる。
ともかく、日本全国大阪府をのぞいて、海兵隊を受け入れてもいいというところはない。それほど嫌われた基地だ。その現状はアメリカも知っているはずだ。鳩山お坊ちゃまは、沖縄の人を説得するのではなくて、説得しお願いする相手はアメリカだったのだ。お坊ちゃまは方向音痴で、謝る方角を間違えたのだ。
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