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私たちのとりくみと考え
政策制度要求と提言
1-1. 政治・経済等をめぐる情勢
政治・経済等をめぐる情勢
1. アメリカ発金融破綻…市場化とグローバル化の中ですすむ世界同時減速
(1)新自由主義的競争と国際金融危機

アメリカの金融危機が世界を覆い、かつての大恐慌をしのぐ証券、銀行の経営破綻が相次いでいる。金融危機の原因は、新自由主義的市場化・規制緩和路線の中で金融資本市場がバブル的に異常な膨張を見せたことにある。
アメリカ発の金融危機はヨーロッパや東アジアにも飛び火し、世界的な株価の暴落を引き起こし、実体経済にも不況の影を落とした。不況の波は全世界に広がっている。
(2)異常な株高、原油や穀物価格騰貴を引き起こした金融投機
世界の余剰マネーは有利な投資先を求めて、株、債権、原油、穀物、住宅、土地等あらゆる商品の間を駆け巡る。世界的な同時不況への突入によって、バブル的騰貴は和らいできてはいるが、為替の動向や原油、原料価格の不安定な推移は、企業の生産や国民生活に深刻な影響を及ぼしている。
商品価格騰貴の要因として、干ばつ、新興諸国の需要急増等もあるが、今回は主要穀物生産国の農業の解体、暴走する国際的投機マネーの介在等が特徴である。より高収益を求めて世界を駆け回るマネー経済と実体経済との乖離・不均衡は資本主義経済の業病である。
今後、アメリカの市場崇拝・超規制緩和路線の変革、IMFや世界銀行の抜本的改革、国際的規制の強化ができるかどうかが問われている。利益追求第一主義の資本の論理に対して、労働と生活を基本とする、働くものの論理により、社会・経済的ゆがみを是正するとりくみが求められている。
2. 危機に直面する地球世界
(1)テロと核の脅威、地域紛争
「9.11同時テロ」(01年)から8年を経過するが、テロの脅威や核兵器などの先ゆき不安が、世界を覆っている。核の保有国が増え核拡散は止まらない。依然として地域紛争もあとを絶たない。
08年11月、イラクでは米軍の2011年末までの撤収の地位協定が結ばれた。しかし、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとハマスの紛争、グルジアとロシアの軍事紛争等地域紛争が続いている。アフガニスタンでは民主化に踏み出してはいるが、ここ数年タリバン勢力の復活により治安状況は悪化しており、アメリカは対テロ最前線と位置づけている。日本でもソマリア沖海賊対策を理由に海上自衛隊の派兵が着々と準備されてきている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、アメリカのテロ支援国家指定解除と核施設の無能力化、6ヶ国協議にもとづくエネルギー支援などの行方は定まっていない。
核の拡散等の脅威に対し、国際原子力機関(IAEA)では、新たな国際組織として世界核セキュリティー機関を設立し、核物質の安全な管理をしていくことを模索している。
これら中東・東アジアの諸国は、大国による核の独占と米国や西欧の新自由主義的な拡張主義との狭間で政治的な出口を模索している。国連憲章では、平和的な手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決していくことを求めており、外交的・平和解決の原点に戻る時期が来ている。
(2)市場化の中で広がる「貧困と子ども」、教育の民営化
21世紀に入りグローバルな市場化経済が続く中、各国間の経済社会の発展は不均等にすすんでいる。経済的にも、米国の金融危機が世界に広がりつつある。大人社会でも三人にひとりが低賃金にあえいでいる。子どもも生活苦や家庭崩壊の被害を受け、「子どもの貧困」が世界的に広がりつつある。アジア、アフリカの発展途上国では、「貧困と武力紛争」「自然災害」等でおびただしい数の子どもの命が奪われている。
先進国では、ブレア政権時代の英国がいち早く「子どもの貧困の克服」にとりくみ始め、一定の成果も収めている。対照的に、乳児死亡率などで最下位となった米国では、英国とは異なり貧困家庭への支援などの社会保障予算を縮小している。日本は「子どもに関する公的支出は先進国最低レベル」(OECD)である。
最近頻発する、子どもの虐待等の事件を見ても、子どもの問題がもっぱら家庭内での対応に押し込められ、社会的な対応が遅れている。子どもの「生きる権利」を保障する政策の抜本的改革が必要である。
この間、市場化の中で世界的にも教育への民間資本の進出が広まってきた。民間経営者が資金を出し、公立学校や大学の建設及び経営を行う。政府は特定の期間、企業と賃貸借契約を行い、施設は政府に引き渡す方式である。さらに教科書、カリキュラム、その他学習素材、食堂サービス、テスト及び評価における開発等にも乗りだしている。
教育インターナショナル(EI)は、教育における金融危機の影響を指摘している。公教育においても、外部委託、長期の臨時雇用化、教育におけるGDP比公的支出の停滞等が共通の課題となっている。経済の再構築の観点からは、実質経済の支えであり、それを担う労働者のキャリアアップのためにも教育が不可欠であること、公教育の保障は人権の一つであるとの認識を広めていく必要がある。
(3)地球温暖化と排出量削減

「異常気象の衝撃は、貧しい人々の生活にすでに重大な影響を及ぼしている」(人間開発報告書07/08)。2000〜04年に気象災害に被災した人は「1,500人に一人、途上国では19人に一人、先進国の79倍」、「地球の気温が3〜4℃上昇すれば、土地の水没により3億3,200万人が一時的もしくは恒久的に住居を失う恐れがある」と言われている。
この間のエネルギー多消費型の大量生産、大量消費そして大量廃棄の行き着くところが地球温暖化、地球環境の破壊であることは、最近の旱魃や激しい暴風雨、洪水等で明らかとなっている。二酸化炭素の排出規制をすすめる「気候変動枠組み条約」が92年国連環境開発会議で決まった。95年には第1回気候変動枠組み条約の締約国会議(08年現在192カ国が締結、COP(Conference of Parties)が開かれた。第3回(97年京都)の「京都議定書」では08〜13年の削減目標が課された(日本は90年比6%減)。08年7月の洞爺湖サミットでは、温暖化ガス排出量の「2050年半減、及び2020〜30年中期国別総量目標設定」をきめ、現在「排出量取引」の実験等がすすめられている。
ポスト京都議定書の13年以降の枠組みを合意する、COP15(09年開催)にむけて、中期的削減目標等をもっと確実なものにする必要がある。
(4)アメリカ中心から、国連中心の世界秩序に
中南米では、90年代以降、激しい通貨危機に象徴されるように、国際的な投機資本に翻弄され、IMFの超緊縮の融資条件の中で国民経済が崩壊させられてきた。その苦しみの中から、新自由主義的政策の転換を求める市民の連帯が中道左派政権成立の原動力となってきた。ベネズエラのチャべス政権を始め、脱アメリカの中道左派政権が生まれ、キューバ、ブラジルを含め、ここ数年アメリカを中心とする急速な市場化に反対し、大土地所有の制限、貧困の克服、医療・教育の充実を要求する社会勢力が強まっている。
また、中国、ロシアなどいわゆるBRICs諸国の経済発展も無視できなくなっており、G20などでの発言力も増している。
08年11月、アメリカ大統領選挙では、共和党に変わり民主党が勝利した。いまや超大国アメリカの巨大な軍事力に依拠して、世界に張り巡らした軍事同盟によって国際秩序を維持するという構図は破綻している。世界の力の均衡が大きく変化する中、日本のとるべき道は、国連中心を基本に、アジア、アフリカ、太平洋諸国と連帯し、とりわけアジアの貧困と飢餓の撲滅に貢献することによって、世界の安全に寄与することであろう。21世紀を「戦争の世紀」から「平和・人権・環境・共生の世紀」としていくための緊急なとりくみが求められている。
3. 日本の政治・経済の変革と安定成長への道
(1)小さな政府、新保守主義、規制緩和の流れの中で
世界景気の同時減速による輸出減や原油騰貴・穀物騰貴等の影響を受け、08年後半に入り、日本の景気も、02年2月から続いた過去最長の景気回復局面が終わり、深刻な後退局面を迎えている。
08年9月、小泉純一郎元首相が政界引退を表明した。自らが推進した新自由主義的な急進構造改革路線と自衛隊海外派兵の新保守主義的路線の破綻を象徴したものである。
小泉〜麻生と続く8年間の自民党政権の中で、?不良債権処理を強行して中小商工業者を切り捨て、倒産・廃業に追い込んだ。産業を空洞化させ、労働者を職場から追い出し、パートや契約労働などの不安定雇用を急増させた。高齢者から生きる展望を奪う後期高齢者医療制度を創設し、国民のセイフティネットである社会福祉の切捨てにまで及んだ。?テロ特措法の強行と自衛隊による米軍等の艦船への燃料無料補給、靖国神社参拝はアジア諸国の警戒感を醸成させてきた。政権を投げ出した福田首相のあとを継いだ麻生内閣になっても、田母神空幕長論文に見られるような歴史認識が明らかになっており、一層厳格な文民統制が求められる。
国民は、80年代以降の自民党政治のなかで破綻・疲弊させられた年金・医療・介護や国民生活を改善させ、軍事力によらない真の国際貢献をすすめていくためにも、解散、総選挙によって信任された強力な政権を期待している。
(2)国民経済のゆがみの是正と安定的発展の道筋
国内経済を安定的・持続的な成長軌道に乗せ、経済の格差・ゆがみを是正していくためには、雇用や生活の安定と将来不安の解消を最優先にして、公平・公正な分配を保障しながら改善をすすめなければならない。国・地方、長・短期合わせて1千兆円にも及ぶ巨額な赤字財政構造の解消にむけ、プライマリーバランス黒字化を単なる「努力目標」に後退させないよう中長期的改革をすすめなければならない。
そのためにも、内需拡大につながる経済活性化策、介護、医療、福祉、保育、教育、防災等の分野での生活基盤強化、公共サービスの拡充、雇用・就業機会の創出が必要である。国民にとって安全で安心できる金融システムの構築、大企業のみではなく中小・零細企業を含め、企業活動全般が活発化するように産業基盤を整備する必要がある。
(3)急激な雇用環境の変化と日本の労働者の実態
長期の自民党保守政権が続く中で、完全失業者は250万人を超え、その内実は3割を越える長期失業者、若年層の高い失業率などを特徴としている。景気回復で雇用が増えたといってもその多くは、パートタイム、有期契約、派遣、請負、フリーター等の非正規雇用で占め、一転してこの不況下では、「派遣切り」、「雇止め」、「内定とりけし」など雇用削減がすすんでいる。学校現場でも非常勤講師や免許外教員の増加など、教育予算削減の余波が広がっている。また、長時間労働は、過労死、ストレス、抑うつ症などの健康障害を引き起こしている。労働時間短縮や300万人を超える派遣労働の改善、雇用環境変化に対応するワークルールの確立が喫緊の課題である。
この間、連合を中心に、実効ある男女平等確保にむけた改正男女雇用機会均等法の見なおし、時間外割り増し率の引き上げにむけた労基法改正、等のとりくみが粘り強く続けられている。
(4)働くものの連帯で人間尊重の労働保障を
人員削減、ワーキングプア、雇用の不安定化、労働基本権を含む労使関係のあり方等の改善は日本だけでなく全世界に共通した喫緊の課題となっている。
国際労働基準をめぐるとりくみにあっては、WTO、ILOを中心に「中核的な労働基準」(労働基本権や児童労働、強制労働の禁止など労働者の中心的権利)を遵守させる運動として進行している。働くものに「ディーセントワーク」(人間尊重の労働)を保障し、国際的競争力強化、規制緩和の名のもとにすすめられている、有期雇用、労働時間の「弾力化」、解雇制限「緩和」等々労働法制の改悪に対するとりくみとあわせて連帯を強化していく必要がある。
| 政策制度要求と提言(2009・2010年度): PDF形式 / 4.3MB / A4・74ページ |
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