HOME 私たちのとりくみと考え 政策制度要求と提言 2-4. 地方分権と教育行財政政策

日教組 政策制度要求と提言 2009-2010年度版
日教組の政策・制度要求と提言

4. 地方分権と教育行財政政策

現状

基本的な方向性

日本における地方分権推進は、政治改革として大きく取り上げられたが、その要因としては、1988年に発効した「ヨーロッパ地方自治憲章」があげられる。この憲章で特に重視しなければならないのは、「補完性の原理」の規定である。「公的部門が担うべき責務は、原則として最も身近な公共団体が優先的にこれを執行するものとする。」を基本としている。

めざす方向性としては、より住民に近いところで住民ニーズを吸い上げた行政サービスの推進が必要である。しかし、そのことによって、公共サービスに住民が望まない地域格差や水準低下をもたらしてはならない。そうしたことが起きない、充分な財源の保障が分権を推進する前提条件である。特に、教育の地方分権の推進にあたっては、このことを強く指摘する。一方、教育の市場化、民営化が進行しつつある。特区を利用した様々な動きもある。公教育の安定性、継続性の観点からこうした動向に対して、的確に対応する必要がある。

教育の地方分権の状況

首長部局と独立した行政委員会である教育委員会のあり方が課題となっている。教育委員会設置の選択制を求める声があったり、全国学力・学習状況調査結果の開示強要に現れているような、一部首長による教育行政への過度の介入などがある。その一方で、信頼される教育行政が揺らぎかねない教員採用不正事件が起きた。

教育委員会制度の活性化、機能強化をはかる施策の構築が喫緊の課題となっている。そのためにも、教育施策の、企画、教育行政への指導・監督、学校への支援、教育に係る住民意見の収集と反映など本来の教育委員の役割が発揮できるような公選制を含む教育委員の選出方法・あり方の見直しが急務となっている。

同時に、都道府県教育委員会と市区町村教育委員会の役割分担も課題となっており、市町村教育委員会への人事権と学級編制・教職員定数設定権の移譲、政令市への給与負担移譲などが検討されている。

一方で、教育に係る国の関与が強まっている。教育関連三法の「改正」の中で、文科省の教育委員会に対する「是正・指示」権が措置された。国が「箸の上げ下ろし」まで口を出すのではなく、大綱的な基準や制度の設定と教育諸条件の財源確保に役割を特化すべきである。

地方財政と教育予算の状況

地方財政は危機的状況にある。自治体の財政力の差を補いナショナルミニマムを確保するため、地方交付税制度がある。義務教育費国庫負担金の対象外である教材費・旅費や高校の教職員の給与費は、地方交付税という形で一般財源の中に組み込まれている。多くの自治体で予算措置されている教育費は、地方交付税で措置されている水準に達していない。

地方交付税の削減の方向性が提起されている中、社会の基盤づくりのための教育費総額の安定的確保のため、退職手当、教材・旅費・設備費を含めた国庫負担制度の充実をはかる必要がある。こうしたことと合わせ、多くの自治体で賃金の独自カットが強行されており、自治体財源に左右されないで教職員賃金財源を安定的に確保するためにも、全額国庫負担制度の実現も組織内で早急に検討する必要がある。

ゆたかな教育条件の整備にむけて

日本の教育予算の状況は、OECD諸国の中で最低レベルである。学級規模、教室等へのエアコン設置、教材・旅費、就学援助・奨学金、ICT環境など不十分である。

格差社会が大きな問題となっているが、保護者の所得の違いによって、子どもたちの教育に格差が生じることはあってはならない。

格差社会をなくすためにも、公教育の基盤充実が喫緊課題とすべきである。

OECD「図表で見る教育・08年版」
?05年現在の調査結果?
政策提言

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