HOME 私たちのとりくみと考え 政策制度要求と提言 2-8. 子ども・教職員の健康と福祉・社会保障政策

日教組 政策制度要求と提言 2009-2010年度版
日教組の政策・制度要求と提言

8. 子ども・教職員の健康と福祉・社会保障政策

現状

子ども・青年をとりまく環境

子どもをとりまく環境(自然・社会・家庭・学校)の変化にともない、不登校、学校嫌い、人間関係の希薄さ、いじめ、自死、薬物乱用、エイズ・性感染症等、ストレス、メンタルヘルス、アレルギー疾患など子どもをめぐる状況は社会問題といわれるまでになってきている。これらの対策として、対症療法的なことが多く、解決のための方策が見出せないまま今日をむかえている。社会全体の問題として早急な対応が求められている。

08年5月、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」では子どもたちへのアレルギー疾患の対応を示している。しかし、その対応をめぐって学校で事故が起こった場合の責任の所在は明確にされていない。

08年から5年間の時限措置として、麻しんの予防接種が中1と高3に実施されるようになった。個別接種においては保護者同伴要件の緩和、接種率を高めるため集団接種の実施、接種後の追跡実態調査等、問題点が多く強制的な行政の動向に注視する必要がある。

フッ素洗口については、NPO法人の08年3月調査によると全国の市町村のうち6,400施設(35.2%)が実施している。フッ素洗口に使われているフッ化ナトリウムは劇物であるにも関わらず薬品管理等、責任の所在も明確にされないまま子どもに使用させている現状がある。メリット・デメリットを理解したうえで保護者のもとで行うべきである。「疑わしきは使用せず」の観点から、学校における「むし歯予防のためのフッ化物応用」については、中止を求める必要がある。

通学路や学校での子どもが被害者となる事件が多発している。通学路の安全の確保など「子どものいのち・安全をどう守るか」は社会的にも大きくクローズアップされ、学校・地域の最重要課題となっている。

子どもの食に関する健康問題も深刻化している。肥満・過度のやせ・欠食・偏食・孤食・個食などの現象は、栄養の偏りや食習慣、生活習慣など多様な原因が考えられる。子どもたちが生涯を通して健康な生活を営むことができるよう正しい食に関する知識や望ましい食習慣を身につけさせることが重要である。

08年に「学校保健安全法」が改正された。子どもの心身の健康保持増進及び安全の確保が喫緊の課題となっている現状に対応するため、学校保健法の中に学校安全を規定したものである。

国、地方公共団体、学校の設置者は、子どもと教職員が安全に教育活動ができるような中長期的な対策や財政措置を含めた条件整備を行うとともに、ネットワークづくり、地域づくりが重要である。また、人的配置や責任の所在など適切な対処ができることや子どもと教職員が十分にかかわることができる時間確保が重要である。

教職員をめぐる状況

文科省の教員勤務実態調査(07年度発表)では、教職員の膨大な時間外勤務の実態が明らかになっている。精神疾患による休職者も10年前の3.37倍となっている。また、06年に実施した労働科学研究所の「教職員の健康調査委員会」の調査によれば、健康状態に不調を訴える教職員の比率は、全職業平均の3倍となっている。さらに、ストレス要因としては、「学習外指導等職務の多さ」「心理的な仕事の負担度」「仕事と生活への影響」「教育活動をとりまく環境」等をあげている。まさに、超勤への歯止めのとりくみ、労働安全体制の確立(メンタルヘルス体制の確立を含む)が教職員の「命を守る」ことに直結していることを意味している。

これまで、大部分の小・中学校や幼稚園が、衛生委員会等の設置義務の枠外に置かれていたこともあり、あらゆる業種の中でも、最も遅れをとっているといえる。県立学校などでは、職員安全衛生管理規程等の名称で規程や体制の整備がなされていても、機能していないところもあるというのが現状である。

こうした現状を踏まえ、日教組は、すべての職場において労安体制の確立をめざし、改正労安法の完全実施に伴う法の周知・徹底、医師による面接指導も含めた適正な労働時間管理、長時間及び過重労働を抑制するとりくみを強めている。これらのとりくみを実効あるものとするよう、教育委員会への交渉・協議並びに校長交渉を強めてきた。

安心・安全の社会保障・福祉制度の構築を

日本経済の不況は社会保障にも影響を及ぼし、負担の引き上げと給付の切り下げという施策が繰り返されている。社会保障は、「持つ者」と「持たざる者」が支え合う協力原理にもとづくが、その手法の一つに税の所得再分配機能がある。

社会保障を支えている財政措置として、社会保障負担と租税負担を合計した国民負担率がある。その国が国のあり方として何をめざしているか、その尺度である国民負担率は日本の場合先進諸国でもアメリカに次いで低い水準になっている。特に日本は個人所得税の負担率がアメリカの半分にも達しない6.1%にすぎず、この面からも所得再分配機能が働かない証左になっている。

福祉・社会保障制度はかっての「国が保護し、与えるもの」「安い負担で高い保障を」から、国民生活全体の安定を支えるものに変わってきている。賃金、税制を含めたトータルな課題として将来を見据えた政策提起と「公私の役割分担」を明らかにする必要がある。すべての高齢者が経済的弱者ではないが、大きな格差が存在する。資産や収入に見合った応分の負担を求めることも必要である。多様な働き方を保障して支える側を増やし、自己決定権が尊重された社会全体で支える制度・システムづくりをすすめなければならない。

政府は、共済年金と厚生年金の統合、追加費用の削減、パートタイム労働者の一部に厚生年金の被保険者範囲を拡大することを柱とした「被用者年金制度の一元化を図るための年金保険法の一部を改正する法律案」(被用者年金一元化法案)を06年度の通常国会に提出したが、審議が先送りされ続け、08年度国会審議の見通しはたっていない。

一元化基本方針は、従来の論議が年金財政の安定を基本的考えとしていたのと異なり、公務員の身分上の制約や、企業年金の普及状況を無視した公務員バッシングとしての側面を色濃く持っているのが特徴である。

公務労協は、(1)新3階部分について制度設計と国会への提案、(2)共済組合の財政と年金事務の自主的運営の確保、(3)追加費用縮減措置案の撤回を求めている。さらに、個人年金記録の統合・復元によりすべての受給資格者の適正な年金受給を保証することと、基礎年金の税額方式化による皆年金制度の再確立、パート労働者や5人未満事業所への厚生年金の適用拡大など、安心・信頼できる公的年金制度の確立にむけて年金制度の抜本的改革を求めている。

医療・介護保険制度の改革を

75歳以上の高齢者を対象とした「後期高齢者医療制度」は4月1日より実施されたが、新たに医療保険料が年金から天引きになり、低所得者ほど保険料が高くなることが判明し、高齢者に多大な痛みを与えるものとなった。また、窓口負担軽減が無くなるなどの問題も起こっている。

野党4党は、「後期高齢者医療制度廃止法案」を08年度通常国会に提出した。参議院では可決・通過したが、現在、衆議院で継続審議となっている。衆議院で確実な法案審議にむけた働きかけが必要である。

政府は、来年度予算において、社会保障費の2,200億円抑制目標とは別枠で医師不足問題などに対応するための予算を確保する方針を明らかにしている。しかしながら、医師要請数の増員等の考え方は示されているものの、現在の医師不足の改善にむけては十分な対策が講じられていない。

医療制度の充実は、国民の老後の「安心」の根幹とも言えるものであり、患者本位の医療、良質な医療サービスの確立と、安定した医療制度の再構築にむけた医療・医療保険制度改革の実現をめざす必要がある。

介護保険制度の拡充については、介護労働者の専門職としての地位・雇用・労働条件向上に資する介護報酬改定を行うよう社会保障審議会介護給付費分科会に意見反映を行っていく必要がある。また、被保険者・受給者の範囲拡大、ケアーマネージャー・ホームヘルパーなど介護労働者の労働条件の改善、12年までの療養病床再編により、行き場のない入院患者がでないようにすることなど、制度の改善を求めていく。

政策提言

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pdf 政策制度要求と提言(2009・2010年度):
PDF形式 / 4.3MB / A4・74ページ

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