山下くに子のこの1枚

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元FM横浜アナウンサー。小学館ビッグコミック『CD探検隊』連載中の『山下くに子』がお薦めするバラエティに富んだ名盤の数々をご紹介します!

選択肢、ご用意してます!

  • 山中千尋
  • 「ギルティ・プレジャー」
  • 発売日:2016/07/13
    レーベル: UCCQ-1064
    価格:2800円+税
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どうせ聞くなら、よりよい音で聞きたい! と思いますよね? 

音質も良くコンパクトということで、今やアナログレコードは影をひそめ、CDが主流。そのCDにも陰りが見え始め、ネットで音楽をデータで買う時代になっています。でも、そんな折、あえて、アナログ盤を出すアーティストがいます。

アメリカのバークリー音楽院で講師も務めているジャズピアニストの山中千尋さんが、去年の夏にリリースしたのが、CDデビュー15周年記念盤「ギルティ・プレジャー」。そして、年末には、同じ内容のアナログレコード盤をリリースしました。デジタル時代に、なぜアナログ?

これ、選択肢がある、ということなのです。ご存知のように、デジタル音源の方が、音が劣化するポイントが少なくなるので音がきれいと言われていますが、整音の段階で、人間の耳には聞こえない周波数の音はカットされます。その点、レコードは、聞こえない音も収録されている…。聞こえないけど、聞こえない音が収録されている方を選ぶという聴き手側の選択肢を、彼女は用意してくれている、というわけです。

彼女はジャズの魅力についても、楽譜通りではなく、自分で音を出すか、出さないかの選択ができるところと話していて、多くの選択肢があるところに、良い音楽が生まれていくことを感じます。

このアルバムは、ほとんどが彼女のオリジナル曲で、ゴダイゴのカバー曲など馴染みやすい曲からフリーな雰囲気までバラエティ豊か。彼女が奏でるピアノは、明るい音の中に、竹のようなしなやかさもあり、新学期が始まる春にぴったりです。

多くの個性と出会う時期ですが、自分自身も、相手にとって多くの選択肢を用意できる人間になりたいなと思います。

ということで、今回は、アナログレコード盤の方をご紹介すべきかもしれませんが、プレイヤー自体をもう持っていない方が多いというご時世ゆえ、CDの番号を記載しています。内容もジャケット写真も同じですので、機会があれば、レコード盤の音も聞いて、ご自身の耳好みを見つけてくださいね。

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