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山下くに子のこの1枚

体感!ビジュアルクラシック
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ラン・ラン |
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「ライブ・イン・ウィーン」 |
発売日: 2010/8/25 品番:ESBC-1 税込:3,990円 | |
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2011年2月1日 |
映画「のだめカンタービレ」の演奏吹き替えで、音楽ファン以外にも、その名を知られている中国出身のピアニスト、ラン・ラン。100人アーティストがいれば100の演奏スタイルがありますが、彼のは独特。同じタイトルでCDもでていますが、とにかくDVDで演奏する姿を見てみて!
悪く言えばオーバーアクション、良く言えば、鍵盤を取り巻く空間のすべてが自分の演奏守備範囲。鍵盤に触れていない休符の時の手の動きや、感情を込めるときに見せる腹話術の人形のような表情、眉の動き、唇の傾きまでが拍を刻み、頭までがガクガクと16分音符を刻む…。カメラワークも上からグルグル撮ったりして、見ているこちらも思わず一緒に身体がガクガクして…(笑)
いわば、彼は演奏スタイルのビジュアル系。音を聴くだけでなく、演奏する姿を見ることで、楽しさが倍増するんです。
日本の年号に直すと昭和58年生まれの彼は、レーザーディスクなど音も画面もきれいな映像で育った世代。彼らは名ピアニストたちのステージを見て、音だけでなく、いかにピアノの前に座りパフォーマンスをするかも含めて「演奏」であり、「個性」であることを、ごく当たり前に身につけてきた世代です。従来のクラシックファンには大げさと言われる動きも、単にピアニストとしての個性の強調に過ぎず、ファンを楽しませるオマケくらいの感覚です。
演奏会は、アーティストと観客が同じホール空間を共有する一体感が魅力ですが、彼のDVDからは、ピアノを共有する一体感も伝わってきます。空中に手を伸ばし、自分もピアノを弾いているかのようなラン・ラン成りきり状態は、やってみると、けっこうストレス発散になりますよ。一人きりのDVD鑑賞タイムに、お試しください。