山下くに子のこの1枚

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元FM横浜アナウンサー。小学館ビッグコミック『CD探検隊』連載中の『山下くに子』がお薦めするバラエティに富んだ名盤の数々をご紹介します!

寂しくなったら、過去の曲

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寂しくなったら、過去の曲
ジェフ・リン
「ロング・ウェイブ」
  発売日: 2012/9/26 品番:MICP-30034 税込:2,900円
2012年11月1日

yamashita1211.jpg朝晩の空気が冷たくなり、木々が色づいた葉を落とす頃になると、切ないバラードがハートに染みる…、秋は、誰もがちょっとおセンチになる季節ですね。

でも、これは自然の成せるワザで、物理的に1日の日照時間が短くなると神経伝達物質のセロトニンが減少するため、身体が冬の停滞モードになり、夏の活動的な時とのギャップが生まれて、物悲しい&寂しい…という気持ちになるのだそうです。だから、秋から初冬にかけては、切ないサウンドの魅力を1年の中で一番感じることができる季節なんですね。

でも、あまりセンチメンタルにはなりたくないな、という時にオススメなのが、ジェフ・リンの新作「ロング・ウェイブ」。このジャケットの雰囲気そのままに、ノスタルジックで秋に似合うサウンドになっています。

ジェフ・リンは、イギリスのポップロックバンド、エレクトリック・ライト・オーケストラのキーパーソン。このアルバムは、曲も書き、プロデュースもやり、と多彩に活動する彼の、なんと22年ぶりのソロアルバムです。自身のオリジナル曲から離れ、彼自身が影響を受けた曲をカバーしたもので、映画「慕情」のテーマや、アズナブールの「忘れじのおもかげ」、R&Bの名曲「マーシー・マーシー」、チャックベリーの「レット・イットロック」など、多種多彩。昔、長波のラジオ(ロング・ウェイブ)で聴いていた曲だそうですが、他の多くのアーティストにもカバーされているような名曲揃いのため、古いという感覚はまったくありません。彼のギターを中心にオリジナルを尊重しつつ、ハーモニーを加えたサウンドは、エレクトリック・ライト・オーケストラのポップな雰囲気ではなく、落ち着いた大人の魅力。そのシンプルさがかえって温かみを増して、ハートにすっと染み入ってきます。

ちなみに、秋を感じ過ぎて寂しくなり過ぎた時や沈滞ムードになってしまった時は、セロトニンを出すために太陽の光りを浴びるといいそうですが、音楽で言えば「楽しい音楽を聴く」のではなく、「過去に好きだった曲、楽しいと感じた曲」を聴くのが効果的。曲を聴いた時に「この曲いい!」と思った楽しい感情がよみがえり、そのままパワーとなっていくのです。

それって、まさに、このアルバムでジェフ・リンがやっていることですよね。気分が停滞したとき、なんだかやる気が出ないとき、このジェフ・リンの手法を使って、あなたが大好きだった過去の曲からパワーをもらうのも良いかもしれませんよ。

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