山下くに子のこの1枚

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元FM横浜アナウンサー。小学館ビッグコミック『CD探検隊』連載中の『山下くに子』がお薦めするバラエティに富んだ名盤の数々をご紹介します!

孤独の先をみつめよう

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孤独の先をみつめよう
ヴェルディ
「レクイエム ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団、
バイエルン放送合唱団」
  発売日:2014/11/25 レーベル : Arthaus Musik *cl* 
価格:4,100円前後
2015年2月1日

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よく、オーケストラの指揮者とオケ・メンバーとの関係は、教員と生徒に似ているといわれます。様々な個性を持つ演奏者を、指揮者がひとつにまとめあげる…、そこが教員と生徒の関係のようであり、指揮者によって演奏が変わるところが、先生によってクラスの雰囲気が変わったり、職員によって学校のカラーが決まることなどに通じるようです。

教員と生徒の関係のみならず、指揮者のスタンスは、大勢の人のまとめ方として、ビジネス書などでも取り上げられていますね。

ただ、そのまとめ方は、人それぞれ。例えば、現役の指揮者の中でも人気が高いマリス・ヤンソンスは、ストレートで理性的な振りをするタイプ。もちろん曲によって変わりますが、汗を散らし髪振り乱して振るイメージではありません。

それでも、情熱を指揮棒の先に送り込み、目線や表情を細かに変えながら、オケ・メンバーの個性を引き出します。そのような指揮者の動きは、以前はホールに足を運ばなければ見ることができませんでしたが、最近は、映像作品が多く出回っているので、手軽に楽しむことができます。

ヤンソンスといえば、ベートーヴェンやショスタコーヴィチを扱ったものが有名ですが、こちらのDVD「レクイエム」は、彼が合唱作品をよく取り上げた時期の収録で、オーケストラと合唱団あわせて約200人以上を、まとめあげています。オケ・メンバーへの視線の投げかけ方や、合唱団への意思の伝え方など、多種多様な伝達表情を見ることができます。

ヤンソンスの指揮も素晴らしいけれど、レクイエムの合唱&ソロがこれまた素敵! 歌っている人の表情も、最高に気持ちよく声が出てます!という顔をしています。その一体感を味わうだけでも、こちらの気分が高揚してくるのが、よくわかります。

でも、以前、ヤンソンスがインタビューで語っていたのですが、そんな一体感の中、舞台の上では「孤独」なんだそうです。いったん舞台に上がったら、誰も助けてはくれない、その先の音だけをイメージしながら振り続けるのだそうです。

対立関係ではないけれど、常に大勢と対峙する立場の人は、孤独感を感じるのでしょうね。でも、孤独は感じてもいいけれど、孤独感に陥ってしまってはいけない。指揮者と同じように、その先にあるものを見なくちゃ。

ちなみに、孤独を感じている人は、そうでない人と比べて、気温や部屋の温度を低く感じるそうです。1年でも1番寒い時期です。どうぞ、いつもより、少し暖かくしてお過ごしください!

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