山下くに子のこの1枚

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元FM横浜アナウンサー。小学館ビッグコミック『CD探検隊』連載中の『山下くに子』がお薦めするバラエティに富んだ名盤の数々をご紹介します!

メンテナンス、してますか?

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メンテナンス、してますか?
イモージェン・ヒープ
SPARKS
  発売日:2014/8/26
レーベル : RCA 88843-04095-2/MEGACD007DE
価格:2,500円前後
2016年11月1日

どこか影と浮遊感のある歌声。イギリスのシンガーソングライター、イモージェン・ヒープの歌は、晩秋に似合います。

アルバム「スパークス」は2年前の2014年にリリースされたもので、邦盤は出ていないのですが、比較的入手しやすい輸入盤です。

彼女、実に多彩な方で、ピアノ、ギター、クラリネットなど様々な楽器を演奏することはもちろん、デジタル機器も操り、自身のライブステージにはPCを持ってステージに登場し、打ち込んできたサウンドとともに歌います。いわば、一人でバンドパートの全てをこなしちゃう、一人バンド状態です。

デジタル機器を使う…というとピコピコサウンドを思い浮かべますが、多重録音を駆使するタイプで、自分の声だけを重ねて作った楽曲も収録されています。

そんなデジタル系の彼女、手の動きを音に変える手袋というのをマサチューセッツ工科大学と共同開発しています。その手袋をして指を動かすと、楽器を弾かなくても、その指の動きのデータが音に変換される仕組みです。それを曲作りに応用するなんて、斬新。そして、この手袋、動きを音に変換するので、これを手話のできる方が使うと、手話ができない人にも何を言っているのかが音でわかる…。つまりは、手話を知らない健常者でも、聴覚障害者と、簡単にコミュニケーションできるんです。

また彼女は、このアルバムにも収録されてる「ライフライン」という曲を、アルバム発売より2年先駆けて発表し、東日本大震災で犠牲になった方々のために歌ったというエピソードも残っています。

弱者に対して自分ができることを音楽で伝えるために、いろいろな手法を取るイモージェン、そのイメージで聞いてください。存在感はありつつも、BGMにもなる軽やかさと柔らかさ。優しさも寂しさも、いろいろな感情がふんわりと漂う不思議ワールドを作り上げています。

収録楽曲は14曲なのですが、デラックス盤には、その14曲のインストルメンタルバージョンがついていて、同じ曲なのに、全く違う印象が楽しめます。

人間の身体は、夏の暑さや冬の寒さに耐えるように体力を温存していて、暑さのピークと寒さのピークの通過点となる春や秋は、いわば体力調整・メンテナンスの時期なんだそうです。

これから年末、年度末と一番忙しくなる時期。身体だけでなく、こころと気持ちのメンテナンスをお忘れなく…!

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