点鐘 [連載コラム]

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点鐘(テンショウ)とは、航海者に30分毎に時を知らせる鐘の音のことです。帆船時代には4時間(八点鍾)単位に当直を組み、大海原へ乗り出しました。 この連載コラムでは、各界を代表する方々が、自由なテーマで時代の点鐘を鳴らします。

元気な気持ち

2011年05月02日
元気な気持ち
 奥井禮喜(月刊ライフビジョン発行人)  2011年5月2日

何でこんなことが起こるのか。巨大地震・津波に直撃された方々を思っても慰める言葉すらない。しかし、いかに悲憤慷慨しようと地震は統御できない。

発生以後の対応はすべて人知による。理屈をいえばきりがないが、人類誕生以来、自然にこてんぱんにやっつけられたことは数限りない。いかなる事態にいたろうとも、一朝事あれば、態勢を立て直し、積極果敢に挑戦して生活基盤を改善向上させてきた。学ぶべき歴史とは、地球に生きて死んでいった先人たちの不撓不屈にこそある。

被災された方々に共感・同情する気持ちを燃やし、皆さまの生活が再建されるまで持続させなければならない。

国難なる言葉が多用されるが、国難とは国を構成する一人ひとりの難儀である。共感・同情を言葉で表すために苦心をするよりも、支援体制をますます強固にする。そのために各人が持ち場で被災された方々の分を取り戻す元気な気持ちを持って活動しよう。

今回の被害総額は一六~二五兆円だといわれる。わが国経済のざっと四%相当である。そのくらいは、無事だったところが取り戻す気風を確立しなければならない。

人間は自然に働きかけ、自然を変え、あるいは変形・破壊して現代文化・文明を作ってきた。われわれはこの地球で生きていくしかない。今回は津波にやられたが、少なくとも今回程度の津波を克服できる社会基盤作りをやらねばならない。それが再建復興であり、われわれの敗者復活戦である。

被災された方々への共感・同情を具体的に役立たせよう。兵庫県南部地震の際、いわゆる自粛論と行動自粛が溢れかえった。これがどれだけ復興の足を引っ張ったか。同じ轍を踏まぬようにせねばならない。

国を作っているのは非力な個人である。しかし、個人が集まって国を作っている。危機に際して「私の問題だ」と認識できるかどうかこそが大事だ。詰まらぬ自粛はせず、もっと自分の暮らしを充実させるように、そして被災された方々を支えて、みんなが溌剌元気になるために、自分にできるイベントを創造しようではないか。

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