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2025/06/20 教育関連記事

これからの部活動はどうなる?中教審・実行会議の最終報告ポイント解説

2025年5月16日、今後の部活動改革の方向性を示す、中央教育審議会「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」の最終とりまとめが公表されました 。このとりまとめは、これからの子どもたちのスポーツ・文化芸術活動のあり方、そして学校や教職員の役割に大きな影響を与える可能性があります。この記事では、この「最終とりまとめ」で何が話し合われ、今後どのような方向性が示されたのか、主なポイントを分かりやすく解説し、学校現場への影響について一緒に考えていきたいと思います。

 

なぜ今、部活動改革なのか?

今回の最終とりまとめでは、まず部活動改革の根本的な「理念」が改めて示されました 。急速な少子化が進む中でも、将来にわたってすべての子どもたちが継続的にスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保し、充実させていくことが、この改革の最も大切な目的です 。

 

これまでの学校部活動は、教職員の献身的な指導のもと、多くの教育的成果を上げてきました。しかし、教員の働き方改革の視点や、子どもたちの多様化するニーズに応えるという点では、学校だけが担う体制に限界が見えてきているのも事実です 。そこで、学校の枠を超え、地域社会全体で子どもたちの活動を支え、より豊かで多様な体験を提供できる環境づくりが求められています。このとりくみは、教職員や学校の負担軽減につながるものとして期待されています。

 

具体的には、学校にはない専門的な指導を受けられたり、学校の垣根を越えた仲間と出会えたり、地域の人々と交流したりする機会を通じて、子どもたちが新たな可能性を見出し、人間的に成長することが期待されています 。

 

また、これまで「地域移行」と呼ばれていたとりくみの名称が「地域展開」へと見直されました 。これは、学校と地域を対立的に捉えるのではなく、学校も地域の大切な一員として連携し、地域全体で子どもたちの活動の場を広げていくというニュアンスが込められています 。

 

今後の改革はどう進む?

今回のとりまとめでは、今後の改革の具体的な進め方や期間についても方針が示されました。まず、休日と平日のとりくみ方に段階が設けられています。

 

休日については、これまでの実証事業などを通じて、学校部活動から地域クラブ活動への移行、すなわち「地域展開」が着実に進んでいる地域もあることを踏まえ、次期改革期間内に、原則として全ての学校部活動で「地域展開」を実現し、地域クラブ活動へ転換することをめざす、という方向性が示されました 。もちろん、地域の実情に応じて、可能な限り前倒しで実現することが望ましいとされています 。

 

一方、平日の活動については、指導者の確保など休日に比べて課題も多く、とりくみの進捗も緩やかな状況です 。そのため、まずは国が実現可能な活動のあり方や課題への対応策を検証し、それぞれの地域の実情に応じて、休日・平日を通した活動を一体的に計画しながら進めていくことになりますが、平日の部活動においても、教職員や学校の負担軽減につなげるためにも推進すべきとりくみです。

 

次に、改革を進める期間についてです。

令和5年度から令和7年度までが「改革推進期間」とされていましたが、これに続く期間として、新たに「改革実行期間」(仮称)を設ける案が示されました。具体的には、前期3年間(令和8年度~令和10年度)と後期3年間(令和11年度~令和13年度)の計6年間とする考えです 。特に、前期3年間が終わった段階で、それまでのとりくみ状況を評価し、後期に向けてさらに改革を進めていくとしています 。

 

そして、教職員にとっても関心の高い費用負担のあり方については、活動を持続可能なものにするために、保護者等が負担する費用(受益者負担)と、国や自治体など公的な支援(公的負担)のバランスを考慮し、国・都道府県・市区町村が支え合うことの重要性が強調されています 。特に、経済的に困難な家庭の子どもたちの活動機会が損なわれないよう、確実な支援を行う必要があるとされています 。

 

出典:「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ(概要)

学校現場への影響は?

最終とりまとめでは、改革を進める上での具体的な課題や対応策についても、多岐にわたる議論がなされています。その中から、特に教職員の関わりが深いと思われるテーマをいくつかご紹介します。

 

①指導者の確保と質の問題

地域クラブ活動の担い手となる指導者を、量・質ともにどう確保していくかは大きな課題です。報告書では、地域の多様な人材の発掘やマッチング、指導者研修の実施、ICTを活用した遠隔指導などが挙げられています 。また、指導を希望する教職員が地域クラブで活動する場合の兼職兼業の適切な実施についても触れられています。これらのとりくみは、教職員の指導負担を軽減し、専門性の高い指導を子どもたちが受けられるようになることにもつながります。

 

②活動場所の確保と管理

子どもたちが活動する場所をどう確保するか。学校施設は、子どもたちの移動の利便性や用具保管の観点からも重要で、学校教育に支障のない範囲で優先的に活用できるよう促していく方針です 。その際、教職員の負担が増えないよう、予約システムのICT化やスマートロックの導入、指定管理者制度の活用など、効率的な管理運営についても提案されています 。

 

③大会やコンクールのあり方

地域クラブ活動に参加するこどもたちが、大会やコンクールに参加できる機会をどう保障するかは重要です 。大会参加規定の見直しや、引率体制、大会運営業務の外部委託など、教職員の負担軽減も視野に入れた検討が求められています 。

 

④学習指導要領での扱い

今後、学習指導要領が改訂される際には、地域クラブ活動が普及・定着することを見据えた記載が検討される方向です。一方で、当面は平日を中心に学校部活動が残る学校もあるため、そうした学校部活動についても、教職員の負担軽減の視点から一定の記載がなされることが考えられます 。

 

出典:「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」最終とりまとめ(概要)

 

子どもたちの笑顔と成長のために

「最終とりまとめ」は、部活動改革が新たな段階に入ったことを示しています。その根底にあるのは、「子どもたちの豊かで幅広いスポーツ・文化芸術活動を保障する」という揺るぎない目標です。

 

この改革を成功させるためには、何よりもまず、改革の理念やめざす姿を、教育関係者をはじめ、保護者、地域の方々、そして子どもたち自身が理解し、共有することが不可欠です。そして、それぞれの立場の人々が連携し、知恵を出し合い、主体的に取り組んでいくことが求められます。

 

変化の過程では、戸惑いや困難も予想されます。しかし、この改革は、子どもたちに新たな学びや出会いの機会を提供し、教職員にとっては専門性をより教育活動の中心に注力できる環境を生み出し、負担軽減を実現するとりくみでもあります。

 

「学校教育としての活動」から「地域に開かれた学び」へ。

 

この大きな転換期を前向きに捉え、子どもたちの笑顔と健やかな成長を真ん中に置きながら、より良い部活動の未来を築いていくことが期待されています。

《「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」 最終とりまとめ 概要》

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