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2025/10/27 教育関連記事

学校で非認知能力と認知能力を共に育てるために

中山芳一All HEROs合同会社代表社員/IPU・環太平洋大学特命教授

1976年岡山県生まれ。元岡山大学教育推進機構准教授。学童保育指導員を経て教育方法学者へ。岡山大学在職中は、キャリア教育の主担当教員として実践を進めてきた。そして、小学生の学童保育から大学生のキャリア教育に至るまでの自身の実践が、一貫して「非認知能力」の育成にあることを見出した。以降は、さまざまな教育現場に携わり、非認知能力の育成をテーマに実践・研究・発信を行う。主な著書に『非認知能力の強化書』(東京書籍)、『教師のための「非認知能力」の育て方』(明治図書)など。共著書、監修書も多数。


 

1.非認知能力をチョーわかりやすく定義する

近年、認知度がますます高まってきている「非認知能力」ですが、ここでは、この言葉を敢えてチョー分かりやすく定義していきましょう。というのも、あまりあれもこれもと付け加えてしまうと、ただでさえ「非」から始まるわけのわからない漢字5文字が、余計にわかりにくくなってしまいますので……。

 

ポイントとなるのは、言うまでもなく「認知」という言葉です。この認知は、先ほどの「認知度(人々に知られている度合い)」という認知もあれば、「認知機能(記憶や判断などの脳の全般的な働き)」という認知もあります。様々な認知という言葉がある中で、認知能力・非認知能力といったときには、「評価・測定」という意味が適しています。

 

ただし、認知能力を評価・測定できる力、非認知能力を評価・測定できない力とするのではなく、共通の尺度によって点数や数値にして評価・測定できる力を認知能力と呼び、共通の尺度によって点数や数値にして評価・測定できない力を非認知能力と呼んでいます。あくまでも、学力テストなどの「共通の尺度」によって評価・測定が可能かどうかで区別しているわけです。そのため、非認知能力は、個別の尺度であれば主観的に評価・測定できる力であることを知っておいてください。

 

このようにチョーわかりやすく定義してみると、以前から教育現場では、認知能力のことを「見える学力」、非認知能力のことを「見えない学力」と位置付けていたことがお分かりいただけるでしょう。つまり、何やら小難しく言っていますが、私たちが以前から教育現場で大切にしてきた「力」の呼び方が変わっただけだと思ってください。したがって、何か特別に新しいことを教育現場に導入しなければならないわけではなく、むしろこれまで大事にしてきたことの解像度を上げ、より多くの教職員たちが共有して、チーム学校でとりくんでいけたらいいよね……といった感じなんです。

 

 

2.非認知能力を生かして認知能力を高める

非認知能力と呼ばれるようになって、より一層強調されるようになってきたことがあるとすれば、二つの力の一体的な育成ということでしょうか。これは、ちょうど、現行の学習指導要領から登場した「学びに向かう力、人間性等」の涵養と「知識・技能」の習得、「思考力・判断力・表現力等」の育成を一体的に行っていくことと一致していると言えます。

 

これまでは、どちらかといえば認知能力(見える学力)よりも非認知能力(見えない学力)こそが大事だといった論調になってしまい、認知能力が非認知能力のアンチテーゼのようになっていた感じでした。

 

しかし、決してそうではなくて、非認知能力は認知能力などの顕在化された力を下支えしてくれる力としてとらえ直し、いかにしてこの二つの力を相互作用的に発揮・育成できるが問われているのです。それも、以前からこんなことを実践できていたベテラン教員の「秘伝のたれ」にとどめるのではなく、若手教員にも継承できるように、さらにはチーム学校でとりくめるように言語化・体系化を進めていく必要があります。

 

ということで、実際にそんな試みをしてきたのが、私の提唱する「教育実践ステップ5.0」になります。

 

 

 

ステップ1.0:学校教育目標を非認知能力に分解して、さらに行動指標にまで言語化する。

ステップ2.0:ステップ1.0を教員たちの見取りのレンズや児童・生徒たちのマインドセットに活用する。

ステップ3.0:授業の中で「感情を動かす仕掛け(ギミック)」を意図的に入れていき、非認知能力を生かして認知能力を習得・育成できるようにする。

ステップ4.0:ステップ1.0を児童・生徒の振り返りに活用して、振り返りの質を高められるようにする。

ステップ5.0:児童・生徒の振り返りを活用して、教員の教育実践の改善につなげる。

 

各ステップの概要を説明してみましたが、これら5つのステップを学校内で共にステップアップしていけるようなイメージを持ってみてください。個人のスーパーティーチャーだけができているのではなく、めざすところはチーム全体で……そして、非認知能力か認知能力かではなく、非認知能力を生かして認知能力などを高めていけるようになるための一助にしていただければ幸いです。

 

中山芳一さんによるオンライン勉強会開催のお知らせ!

本稿の筆者、中山芳一さんによるオンライン勉強会(Zoomウェビナー)を2025年11月26日(水)19:30~21:00に開催します。非認知能力を認知能力の向上に繋げる具体的なステップなどについて、より詳しく知りたくなった方はぜひオンライン勉強会の申し込みページからお申し込みください。

 

中山さんは、今年話題となったドラマ『御上先生』で教育監修を担当された方です。

当日は人気ドラマの裏話も聞けるかもしれませんのでお楽しみに!

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