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2025/09/04 教育関連記事

【教育と多様性②】LGBTQ+と学校生活

SDGsには「誰も置き去りにしない」という目標のもと、「ジェンダー平等」や「国や人の不平等をなくそう」といった目標が掲げられています。LGBTQ+という言葉は当事者や支援者が声を上げ、活動してきたこともあって、広く社会に知られるようになりました。

 

一方で、「自分の周りにはいない」と考える人も多いようです。本当にあなたの周りにはいないのでしょうか?また、あなた自身は当事者ではないのでしょうか?

1クラスに3人はいるかもしれないLGBTQ+

LGBTQ+に代表されるセクシュアル・マイノリティーの人々の割合については、民間団体・企業などによる様々な調査結果が報告されています。2020年の調査(*1)によると、日本の20~59歳でLGBTQ+層の人は 8.9%、約11人に1 人ということが明らかになりました。1クラス(35人)に3人はLGBTQ+層の人がいる計算になります。

 

また、ヨーロッパ諸国を対象としたDalia社の調査では、若年層ほど自らをLGBTだと見なすことが多いと指摘されています。自らを「完全に異性愛者と見なす人」以外の人の割合は、30~65歳の人が7.5%だったのに対して、14歳~29歳の人は16%に上っています。

 

LGBTQ+に対する社会的理解が進むことで、自らがセクシュアル・マイノリティーであると気づいたり、カミングアウトしやすくなったりしたことが、この結果のひとつの要因として考えられます。

学校生活での「当たり前」が傷つける現実

それほど多くのLGBTQ+の人が存在しているにもかかわらず、なぜ多くの人は「自分の周りにはいない」と思っているのでしょうか。その背景には、当事者の多くが日常生活のさまざまな場面で傷つき、生きづらさを感じ、カミングアウトをためらっている現実があります。

 

LGBTQ+の人々は、学校生活の中で、自分を否定されたり、生きづらさを感じたりする場面に直面しています。「おかま」「気持ち悪い」といった侮蔑的な言葉を投げかけられたり、持ち物や仕草を「女みたい」「男みたい」だと真似されて笑われたりなど、直接的なからかいやいじめが起こることがあります。2013年の調査(*2)では、当事者の約7割が、学校在学中にいじめや暴力を受けたことがあると回答しています。

また、直接的ないじめでなくても、傷つく場面は少なくありません。

 

例えば、多様な性的指向について「おかしいもの」として周囲が話していたり、「うちの学校にはいない」と先生が言っていたりして、自分は普通ではないと思い込んでしまうことがあります。

 

「彼氏/彼女いるの?」と聞かれたり、「将来結婚するんだから」と言われたり、異性愛が前提となって会話が進むことも多く、これらの何気ない言動に傷ついている人もいます。裁縫箱などの学習教材が性別で色分けされるなど、男女で分けられる場面も多々あり、「男と女が結婚して家族になるのが普通」という考えを強化し、そうではない人たちを傷つける要因となることがあります。

 

自分のセクシュアリティーについての違和感を先生に相談してみたけれど、「そのうち気にならなくなるよ」と言われただけ、という例もあります。2013年の調査では、いじめや暴力を受けた当事者の約半数が、そのことを誰にも相談していませんでした。自らの性のあり方を開示することは、とても繊細な事柄であり、表明することに恐れを抱いている人も少なくないのです。

学校における多様性へのとりくみと課題

LGBTQ+の子どもたちの学校生活について、公的な調査はほとんどされてきませんでした。社会的な関心が高まる中、文部科学省は2014年に「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査」を実施し、学校での対応を促す通知を全国に出しました。その中では、「悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害に係る児童生徒だけでなく、いわゆる『性的マイノリティ』とされる児童生徒全般に共通するもの」と述べられています。

 

調査では全国の学校から606件の報告がありました(学校が把握している件数。誰にも言えず黙っている人は含まれない)。学校の対応としては、本人が自認する性別での制服の着用を認める(31.3%)、職員トイレや多目的トイレの使用を認める(41.4%)などの事例が多く報告されています。

安心できる学校は周囲の理解次第

学校の対応事例の中には、個人の尊重が感じられるものもあります。「最初は多目的トイレを使用していたが、今は自然と自認する性のトイレを使っている」「修学旅行でクラスメイトが声をかけてくれ、個室が用意されていたが自認する性の大部屋で過ごした」といった例は、周囲が自認する性を受け入れることによって、のびのびと学校生活を送れることを示しています。

しかし、当事者が学校で安心して過ごせるかどうかは、担任教員や学校関係者、地域の保護者などに理解があるかに依存しているのが実情です。そのため、制服がないなど校則が比較的緩い単位制や定時制の高校への進学を希望する当事者も多い現状があります。

 

社会的理解が進んだ一方で、自らがLGBTQ+であることを表明することに恐れを抱いている人が少なくないのも事実です。セクシュアリティーはとても個人的で繊細な事柄であり、一人ひとりの個性として尊重されるべきものです。

【参考】

*1 電通ダイバーシティ・ラボ「LGBTQ+調査2020」

*2 いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン「LGBTの学校生活に関する実態調査」(2013)

 

≪出典:『図解でわかる14歳からのLGBTQ+』(太田出版)≫

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