弁護団コラム

JTU弁護団コラム(第13回)~公務災害 1~

2023年05月23日
Q 私は公立学校で勤務している教職員です。先日、自宅から学校に通勤する途中、駅で転んで骨折
してしまいました。
A それは、大変でしたね。
Q 民間企業で働いている人が、勤務中に怪我をしたような場合は、労災(労働者災害補償保険制
度)で補償してもらえるんですよね。私のような公立学校の教職員も、労災を申請できるのでしょうか。
A 公立学校の教職員、つまり地方公務員が公務災害に遭った場合には、原則として地方公務員災
害補償制度によって補償が受けられます。ちなみに、私立学校の教職員の場合は、労働者災害補償保険制度です。
Q なるほど、地方公務員災害補償制度なのですね。でも、私は、地方公務員とはいえ、非常勤な
ので、対象にならないのでは…?
A 確かに、地方公務員災害補償法が対象としているのは、常勤の職員や、一定の常勤的非常勤職
員、再任用短時間職員です。その他の非常勤の職員は、勤務実態が多様で、補償の内容を一律に定めることが困難だという理由から、各地方公共団体の定めた条例で補償されることになります。

ただ、条例の内容は、地方公務員災害補償制度や労働者災害補償保険制度とのバランスを失わないように定めなければならないとされています。

つまり、非常勤だからといって心配する必要はありません。

Q よかった…。ただ、私が怪我をしたのは勤務先の学校内ではなく、通勤途中の駅だったのです
が、このような通勤中の被災も補償してもらえるのでしょうか。
A 補償の対象となる「公務災害」には、通勤災害(勤務のために、住居と勤務場所との間を合理的
な経路と方法によって往復する際に発生した災害)も含まれます。「災害」は、公務や通勤による負傷、疾病、障害、死亡のことです。

つまり、普段のルートで自宅から学校に通勤する途中で負傷したような場合は、「公務災害」として補償の対象となるでしょう。

Q 安心しました。では、私のように公務災害に遭った人は、どこで、どのような補償を受けられる
のでしょうか。
A 以前は、被災職員の所属する地方公共団体が補償を行っていたのですが、迅速で公正な補償を実
現するために、地方公務員災害補償基金が設置されました。現在は、この基金が補償を実施しています。

補償の種類としては、

・必要な診察や治療を受けさせたり、治療費等を支給する「療養補償」、

・療養のために勤務できない期間について、平均給与額の60%に相当する額を支給する「休業補償」、

・後遺障害が残った場合に支給する「障害補償」、

・その他、「傷病補償年金」、「介護補償」、「遺族補償」、「葬祭補償」

があります。

でも、それだけではないんですよ。

Q というと…?
A 基金は、今紹介した基本的補償だけではなく、社会復帰の促進や、被災職員・遺族の援護を目的
として、22 種類の福祉事業を行っています。

休業援護金や特別支給金等の支給や、介護人の派遣、奨学援護金の給付といった支援も実施しています。

Q 手厚いんですね。では、次回は、実際にどのように請求したらいいか、教えてください。
A 了解しました!

 

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