弁護団コラム
弁護団コラム(第14回)~公務災害2~
2023年06月22日
Q. | 私は公立学校で勤務している教職員です。先日お話ししたように、自宅から学校に通勤する途中、 |
駅で転んで骨折してしまいました。今回は、公務災害(通勤災害)として補償してもらうために、実際にどうすればいいのか教えてください。 | |
A. | 地方公務員災害補償基金に、公務災害の認定請求をしないといけません。具体的には、認定請求書 |
を作成し、所属長や教育委員会を経由して、基金の支部長に提出します。 | |
Q. | 認定請求書以外にも、何か書類を提出する必要があるのですか。 |
A. | はい。認定を受けるのに必要な資料、すなわち証拠を提出しなければなりません。 |
Q. | 例えば? |
A. | 医師の診断書や、現認書(負傷の状況を目撃者に記載してもらって作成する文書)又は事実証明書 |
(目撃者等がいない場合に、所属長に災害の事実を確認して記載してもらう報告書)、「通常の通勤経路・所要時間・交通用具を示す通勤簿の写し」など、色々とあります。なお、被災から2年以内に認定請求を行わないと、認定請求日から遡って2年より前の治療費等については療養補償を受ける権利がなくなってしまいますし、時間がたつと証拠を集めるのも大変になりますので、早めに請求をした方がよいです。 | |
Q. | 認定請求書を書くのも、必要な資料を準備するのもとても大変そうですね。私にできるかな… |
A. | 大丈夫。まず、認定請求書は、所定の様式が決まっており、必要事項を記入するだけで足ります。 |
また、実際の手続きは、各学校の担当者(教頭や事務職員等)が進めてくれることがほとんどです。まずは、勤務先で担当者に相談してみてくださいね。また、組合に相談してみるのもよいと思います。 | |
Q. | 少し気が楽になりました。認定請求書を作るにあたって、何か、気をつけておくことはあります |
か。 | |
A. | あなたが記載内容の請求をしていることについて、校長に証明をしてもらう必要があるので、校長 |
には前もって話をしておいたほうがいいでしょうね。 | |
Q. | わかりました。ところで、認定請求をした後はどうなるんでしょう。 |
A. | 基金の支部長は、公務災害にあたるか否かを認定して、その結果を、請求者と任命権者に通知する |
ことになっています。公務災害に該当するという認定であれば、医療機関に知らせて治療費の請求手続きをします。基金は、医療機関及び被災職員から請求のあった治療費の支払い、その他の補償などを行います。 | |
Q. | 治療費についてなのですが、病院で受診した際に、共済組合員証を使ってしまったのですが、大丈 |
夫でしょうか。 | |
A. | 公務災害の場合には、共済組合員証を使うことはできないことになっています。受診した病院に、 |
共済組合員証を使ってしまったが公務災害に認定されたことを説明し、初診時に遡って共済扱いから公務災害扱いに切り替えができるか聞いてみてくださいね。 | |
Q. | 切り替えができる場合、共済組合員証で自己負担をした分はどうなりますか? |
A. | 病院に必要な手続きを確認して、自己負担した分を病院から返還してもらってください。 |
Q. | もし、切り替えができないと言われてしまったら…? |
A. | その場合には、原則として一時的に治療費の全額を自己負担した後(共済組合員証を使ってしまっ |
た分を共済組合に支払った後)で、基金に対して請求することになります。なお、既に公務災害認定を受けている場合であって治療費の全額負担が困難なときなどには、一時的に治療費の全額を負担することなく調整する方法をとることができる可能性があります。条件や必要な手続きについては基金に確認してみてください。 | |
Q. | ところで、もし、公務災害に該当しないと言われてしまった場合はどうすればいいのでしょう? |
A. | 基金に置かれている支部審査会に対し、公務災害不認定の審査請求をすることができます。その後 |
支部審査会の裁決にも不服がある場合は、本部にある基金審査会に対し再審査請求をすることもできます。また、支部審査会に審査請求をした日の翌日から3か月を経過しても裁決がない場合や支部審査会の裁決に不服がある場合には、処分の取消訴訟という裁判で争うことも可能です。 | |
Q. | その場合、すべて私一人で対応しないといけないんですよね?何だか心細くて不安です。 |
A. | そうですね。でも悩んだら、まず組合に相談したらどうでしょうか。それから、審査請求や再審書 |
請求、裁判をするかどうかや手続の選択を考える際には、弁護士に相談するのも選択肢の一つだと思います。弁護士の知り合いがいない場合には、弁護士会の法律相談や、お住まい・勤務先がある市町村の法律相談などを利用するとよいと思います。 |