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とりもどせ! 教職員の「生活時間」~長時間勤務・多忙化解消にむけた研究、とりくみ~【連合総研調査研究報告会】

2017/02/08

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日本教職員組合は、「日本における教職員の働き方・労働時間の実態に関する研究」を公益財団法人 連合総合生活開発研究所(連合総研)に委託しました。

調査結果のポイントは、以下の通りです。
1.教職員の長時間労働の実情
○小学校教員の在校時間は11時間33分、中学校教員の在校時間は12時間12分であり、民間労働者に比べて、かなり長い。
○週60時間以上の割合が小学校教員で72.9%、中学校教員では86.9%
過去調査では医師の週60時間以上は40%。
※医師を選んだ理由:教員と同様に人と接する仕事であるから

2.勤務時間の管理と所定労働時間の認識の欠落
○小中学校の教員の半数以上
(小学校56.9%、中学校55.7%)が「知らない」と回答。

3.労働時間削減に向けたとりくみの実効性と課題
○労働時間削減に向けた学校のとりくみは、小学校教員の勤務時間外削減に寄与しているとはいえない。
○中学校教員は、部活動指導関係の業務負担軽減を求めている。

4.生活時間の貧困
○小中学校教員の生活満足度は、過去調査が示す民間労働者に比べて低い。
○小中学校教員は民間企業労働者よりも家族と一緒に夕食をとる頻度が少ない。

5.今後の教員の働き方に対する課題認識
○勤務時間縮減に向けて学校がとりくむべきことでは、「校内会議の精選・会議時間縮減」(小学校72.3%、中学校51.3%)で最も多い。
○勤務時間縮減に向けて国・都道府県・市町村がとりくむべきことでは、「少人数学級編成の推進」(小学校81.1%、中学校67.8%)で最も多い。
○他に移行すべき業務は「学校徴収金未納者への対応」(小学校90.4%、中学校88.5%)や「国や教育委員会からの調査・アンケート対応」(小学校72.2%、中学校72.6%)

6.調整休暇制度の受容可能性
○小学校では52.6%、中学校では52.3%が導入に賛意を示す。

調査の結果として、「生活時間」という概念が提起されました。この概念は、調査報告書によると「労働から解放された自由時間であれ、われわれは、この間に睡眠時間や自己啓発や趣味に当てるだけでなく、家庭人として育児や介護等の家族責任を果たす時間を確保し、市民として地域の文化スポーツ活動、災害防止・安全確保・環境整備等の活動に積極的に関与すべき時間」とされています。日教組は、生活時間こそ人間的な豊かさを生む出す概念であると捉えています。
この研究から、教職員の定数増を実現することにつながる説得力の高いエビデンスを得ることができました。そして、労働法の観点から、教職員の働き方と勤務時間管理の法的問題点が明らかになりました。

また、研究結果について、日本教職員組合は以下のような基本的な考えを持っています。
○現在の我が国の学校教育は、教育に対する多様なニーズの変化に十分に対応しきれておらず、「現場教職員の負担とモラール(士気)」に過度に依存して成り立っている。
○教育現場では、過重労働や超過勤務が恒常化し、教育の質や子どもの安全対策上も脅かされることが懸念されている。
○教職員を貴重な社会の資産ととらえ、その様々な可能性が最大限に発揮できる環境をめざす責務は文科省・教育委員会、日教組をはじめ各職員団体にもある。

連合総研、日本教職員組合は、それぞれに記者会見の場をもち、マスコミの皆さんと研究結果を共有しました。その結果、教職員の働き方・労働時間の実態が大きくとりあげられています。

日本教職員組合は、この研究結果を活用し、労働法をふまえ長時間労働を解消するための提言を行います。また、教育に影響を与える幅広い関係者との意見交換の場をもち、社会的対話を通して、教職員の定数増、長時間労働の解消にむけてとりくんでいきます。

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