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東日本大震災・東電福島第一原発事故から7年 被災地からの報告➁【岩手】

2018/03/09

写真 巨大ベルトコンベア(陸前高田市:15年9月終了)

写真 山林を削りグランドを造成(大槌高校:16年完成)

東日本大震災津波被害から7年

岩手県高等学校教職員組合

1.はじめに
間もなく震災から7年が経過します。新聞・テレビからは数値データをもとにした復興の状況が報道され、それだけを見ると復興はすすんでいるかのような錯覚に陥ります。「震災の記憶を風化させない」とりくみは、行政も、マスコミも、そして私たち教職員組合においても共通の課題としてとりくんでいるところです。しかし現実はどうなのか……。震災から7年、被災地域の様子を含めて教育現場から報告します。

2.子どもたちの学び
<通学環境>
巨大ベルトコンベアや大型ダンプを駆使した浸水地の嵩上げ工事がほぼ終わり、本格的な町つくりが始まっています。これまでの6年間は、仮設の工事用道路に敷設された歩道を通学路として利用していたため、未舗装の箇所が多く、雨が降れば水たまりができ、晴れれば土埃が絶えず、マスクが外せませんでした。また、工事の進捗状況により毎月のように経路が変わるため、街灯の設置も不十分、通学用バスの停留所も学校から遠く離れているという状況でした。通学路の安全が確保できないことから、自転車による通学が困難で、自家用車による送迎が集中し、学校近隣の住民や施設との調整が必要となった高校もありました。
町つくりに向けて本格的に動き始めた今、各地域の復興計画の中に子どもたちが安心して通うことができる通学路の設置を訴えていくことが必要です。

<学校施設>
被災直後から多くの学校が避難所運営を行うことになり、校庭には仮設住宅が設置されました。2011年度に岩手県内35の小中高校の校庭に建てられた約2400戸の仮設住宅は、2018年度1月現在12校920戸になりました。県の計画では2019年春までに、学校に設置された仮設住宅の解消をめざすということです。
今春、高校を卒業していった子どもたちの中には、中学・高校時代を校庭の無い学校で過ごした子もいます。部活動のために、片道20キロの道のりをバスで移動して活動を続けた子どもたちもいます。その移動バスも、4月からは国の予算減額から規模を縮小されることが危ぶまれています。これまで「一日も早く通常の教育を取り戻す」とのかけ声で教育の復興にとりくんできましたが、7年が経過しても校庭が使えない学校があるという現実があります。

<防災・復興教育>
大槌高校では、2013年から子どもたちによる「復興研究会」の活動が始まりました。町内180ヵ所を年3回撮影する活動を中心にして、キッズステーション(町内の小学生の自主学習や遊びの場つくり)、他校交流班(県内外の高校生との防災・減災を観点とした交流活動)など、6つの活動にとりくんでいます。子どもたちどうしの交流を深めたり、町つくりに高校生の声を反映させるなどのとりくみを通して、地域とともに復興に向けてとりくむ意識が育まれてきました。
しかし、復興のまっただ中にあるこの時期、岩手県の高校再編計画(前期5年計画)が2016年度から実施されました。大槌高校でも学級数削減が行われ、それにともない教員定数も削減されました。子どもたちの活動を支援するための教員が足りないという状況になっています。再編計画では、特に人口減少の著しい沿岸部で4校の統合がすすめられ2校へ(全体では6校を3校へ)、11校(全体では34校)で学科改編及び学級減が予定されています。阪神・淡路大震災の教訓から、震災から10年間は特に子どもたちへのケアが必要と言われている中、再編計画による教職員の定数削減は、今後の子どもたちの学びの保障に不安を残します。

3.くらし
「とにかく、住宅事情が厳しい」という声が沿岸部の教職員から上がっています。アパート等の戸数が少ないことと、家賃の高騰が恒常的になっています。被災した地域の方の入居する復興住宅も家賃が高く、せっかく入居できたのにやむを得ず転居するという事態も起きています。住宅事情の悪さは、定期人事異動にも影響し、「異動は決まったが転居先が決まらず、決まるまでの間60キロメートルを超える長距離通勤」を余儀なくされる、あるいは「ホテル住まい」を続けたという例があります。

4.教職員の思い
震災から7年、人事異動等で所属が変わり、各校ともに教職員の配置が大きく変わっています。その中で「防災・減災・復興教育」「子どもたちへのケア」にとりくむためには、私たち自身が震災の記憶を風化させてはならず、あの日の思いをすべての教職員で引き継いでいかなければなりません。岩手高教組は震災以後毎年、被災当時の思いと教訓を共有するため「ほっとぷろじぇくと」と「3.11語り継ぐつどい」を開催してきました。
今の「日常」の裏に、様々な思いを持って学び、暮らしている子どもたちやその家族、教職員仲間がいるということに思いを馳せながら、私たちは教育の復興にとりくんでいきます。

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