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2018年のはじまりに 泉委員長あいさつ
2018/01/01
「災害後の症状は、異常な体験に対する正常な反応であるという認識をもつことが大切」
アメリカのFEMA(連邦緊急事態管理庁)のメンバーからいただいた心のケアに関するアドバイスです。
異常な体験は自然災害発生時に限ったことではありません。いじめ・暴力・虐待など、格差社会の中で基本的人権が侵害され、日常的に異常な体験をしている人々がいるのではないでしょうか。
私たちは、自らが人権侵害の現実から深く学び、教育のあり方や人権のとらえ方を見つめ直す中で、一人ひとりの子どもの個性や違いを尊重し、多様性を認め合い、互いに支えあい、助け合うような関係づくりを大切にしてきました。ともに生きる学校文化の創造は、ともに生きる社会の形成者としての主権者をはぐくむ教育のベースとなります。確信をもって、人権を基軸に据えた教育実践を創造していきましょう。
教職員が本来の業務に専念できる業務削減や教職員の定数改善などが求められています。実効性をあげていくことで、子どもや授業をめぐって議論できる職場教研や仲間を支える協力・協働の職場づくりを再構築し、すべての子どもにゆたかな学びを保障するインクルーシブな学校づくりをすすめていきましょう。
教育研究全国集会がまもなく開催されます。全国各地でとりくまれた子どもが主体となる教育実践をもとに討議を深め、参加者が互いに学びあう教育研究活動の集大成の場です。教職員自らが、その力量や専門性を高めあう活動や実践は、国際的にも高い評価を受けています。今次集会を契機として、全国各地で「日教組カリキュラム提言」がいっそう活用され、平和・人権・環境・共生を基調に、社会的対話をすすめながら、子どもの最善の利益を追究する教育実践の深化とそのひろがりを期待しています。
今年は、立憲主義と民主主義をより発展させ、憲法の理念の実現をめざす歩みを続けるのか、平和主義、国際協調主義の道を踏みはずしていくのか、正念場の年になります。
すべての子どもたちに平和で民主的な社会を引き継ぐため、組織の拡大・強化をはかりながら、未来につなげる運動を強めてまいりましょう。
日本教職員組合 中央執行委員長 泉 雄一郎