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清水中央執行委員長より 皐月に想う
2020/05/28
皐月に想う
5月1日はメーデーです。「働く者の祭典」ともいわれ、日本で始まったのが1920年で、今年はちょうど100周年に当たる記念のメーデーでした。しかし、新型コロナウイルス感染症対策で、集会や関連イベントについて自粛の要請がされる中、連合の第91回メーデー中央大会は4月29日、メッセージ配信によるウェブ開催となりました。
メーデーは、1886年に米国の労働者が1日8時間労働を求めて起ち上がったことを起源としています。日本の第1回メーデーは5月2日に上野公園で開催され、失業防止・最低賃金法制定・治安警察法17条撤廃(労働運動を取り締まるために制定された法律で、17条はストライキを制限する規定)を求めました。
憲法で保障された労働三権の完全行使、労基法が定める1日8時間労働や雇用確保、最低賃金改善の要求は、134年前と変わらぬ課題が現在もあります。公務員関係の1日7時間45分労働の実現は、働き方改革が叫ばれるなかにあっても、達成への道のりはまだまだです。一歩一歩確実にすすめていきましょう。
メーデーは、戦前の弾圧と戦争によって10年間禁止に追い込まれましたが、第二次世界大戦後に復活し、労働者の地位や労働条件の向上、人権・労働基本権の確立などに貢献してきました。100周年の節目の今年、メーデーの原点に立ち、職場の一人ひとりの働く仲間に声をかけ、連合や日教組に集うすべての仲間とともに団結・連帯して、世の中の不条理を許さない力強い労働運動を展開していきましょう。
メーデー100周年で、もう一つ想うことがあります。それは、「あしなが育英会」が毎年春・秋に行っている「あしなが学生募金」です。今年の春で100回目となる街頭募金を展開する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、奨学金のための積立金も減少しました。遺児家庭の保護者の多くは、中小零細企業や飲食店などでパート・アルバイト、派遣、契約社員など不安定な雇用条件で働いていて、大幅な収入減や雇止めになった人もいます。遺児の高校生や大学生もアルバイトがなくなり、授業料や学費、家賃や生活費に困っている現状です。こうした厳しい状況の中「あしなが育英会」は、高校から大学院までの全奨学生6,500人に「遺児の生活と教育の緊急支援金」15万円を支給しました。
日教組は「子どもの貧困」が深刻な社会問題となっていた09年、連合の「雇用と就労・自立支援カンパ」の提起を受け、困窮・困難な環境・状況にある子どもとその家庭支援につながるよう「子ども救援カンパ」を全国連帯で展開しました。集まったカンパは「あしなが育英会」にも贈呈されました。あれから11年、貧困の連鎖や教育の格差は依然として解消されていません。
日教組は5月15日、困窮・困難な環境・状況にある子どもや学生の支援のため、「新型コロナウイルス感染症対策カンパ」のとりくみを全国に発信しました。ご協力をお願いいたします。寄せられたカンパは、日教組を通じて「あしなが育英会」にもお送りしたいと思います。また、EI(教育インターナショナル:世界の教職員組合の連合体)から要請のあった、新型コロナウイルス感染症対策としての「学校、子ども支援を行う途上国の加盟組織への支援」も行いたいと思います。さらに、公立学校共済組合の直営病院で働く医療現場の仲間への支援も行うとともに、連合の「医療、介護・福祉現場の最前線で働く仲間にエールを送ろう!」にとりくんでいます。5月12日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日で「看護の日」です。是非、医療・介護・福祉従事者への感謝を伝える連合HPへの投稿をお願いします。
全国を対象に発令されていた緊急事態宣言は、5月25日に全面解除が決定されました。これを受け、47都道府県、1741の市区町村ごとに地域の状況に鑑みて、分散登校など学校再開にむけた動きが本格化していきます。今後、学校再開に関わって様々な課題が現れてくると思います。困難な道のりではありますが、引き続き、子ども・教職員の安心・安全を第一に、ゆたかな学びを保障する学校教育の実現にむけとりくみをすすめていきましょう。
一日も早い、子どもの笑顔あふれる学校が地域に戻ってくることを願います。
鬼ごっこ グランド満つる 五月かな
日本教職員組合
中央執行委員長 清水 秀行