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貧困を連鎖させない社会へ

2009/11/05

貧困を連鎖させない社会へ

2009年11月5日

子どもの権利条約国連採択20周年記念シンポジウム

11月4日、「おとなの抱える問題を子どもに連鎖させない社会への決意」と題した子どもの権利条約国連採択20周年記念シンポジウムを、日本教育会館にて開催しました。日本教職員組合と子どもの人権連が主催し、教職員・新聞等の告知をご覧になった一般の方など300名の参加がありました。

シンポジウムの前に行われた記者会見では、中村讓日本教職員組合中央執行委員長より、「日本教職員組合は毎年11月に教育改革キャンペーンを行っているが、今年は子どもの権利条約20周年の節目の年でもあり、力を入れていきたい。学校に閉じこもりがちになってしまう教職員が外に出て、保護者や地域の方の教育に対する思いや意見を聞き、一緒に話し合うことは大切なことであり、それが教職員や教育の質を上げることだと考えている」と語り、キャンペーンをアピールしました。

シンポジウムでは、東洋大学の森田明美さんから現状をとりまく問題について「現在の子育て支援は少子化対策が中心であり、当事者である子ども不在の『子ども支援』になっている。たとえば、児童相談所に虐待の通報があったとしても、ある県ではそのうちの77%が『在宅での支援』、つまり見守りの状態に留まっている。セーフティーネットが脆弱化していくなかで、不安があるのに支援のない子どもたちがたくさん生活している」と報告がありました。

続いて元教員の飯島信さんより教育現場からの報告、早稲田大学非常勤講師の鳫咲子さんより就学援助制度についての報告がありました。

また、特別報告としてあしなが学生募金事務局長である嶋田匡さんより、「貧困の問題は、お金のことだけではなく、生活スキル・社会スキルの違いとなって表れてしまう。社会のことを自分はあまり知らないということが劣等感につながっていた」と発言があり、金銭的な手当てだけでは問題がある現状が浮き彫りになりました。

「子どもたちがどうしたいのかという希望をきちんと聞くこと、その希望を叶えるためのシステムを考えることが必要。その子にとって一番いいことを考えるのが、子どもの権利条約を具現化することである」という森田さんのまとめがあり、シンポジウムを終了しました。

最後に、日政連神本美恵子参議院議員より、「家族まかせにせず、子ども自身に着目して、子ども自身の成長のための支援を国として考えていきたい」と国会報告がありました。

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