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奨学金制度の改善を求める中央行動

2016/03/08

奨学金制度の改善を求める中央行動

 2016年3月8日



日本教職員組合は、3月5日(土)に「奨学金制度の改善を求める中央行動」を行いました。

現在、大学生の半数以上が奨学金を受給していますが、その多くは有利子の奨学金制度であり、非正規雇用の増加などで卒業後の返済が大きな負担となっています。また、大学の学費は年々増額しており、非正規労働者は雇用労働者の38.2%にのぼります。有利子の奨学金制度はいわゆる一般的な「ローン」と同じであるため、非正規雇用に就く若者のなかには借金を「返せない」状況に陥っている人がおり、個人の責任というより社会問題として私たちは捉えています。

集会では、加藤良輔中央執行委員長が「この社会問題は、新自由主義の自己責任論がつくりだしたもの。ゆくゆくは高等教育を無償化しグローバル・スタンダードを達成することが重要であるが、当面は給付型奨学金の拡大を強く求めていく」とあいさつしました。

来賓として、労働者福祉中央協議会の花井圭子事務局長があいさつするとともに、「奨学金に関するアンケート」について説明がありました。そのなかで、「憲法のうたう教育の機会均等はまだ実現されていない。奨学金制度については社会問題であるという認識が広がりつつある」と指摘しました。
 また、弁護士の岩重佳治さん(奨学金問題対策全国会議事務局長)から「奨学金問題の現状と課題」とする基調講演がありました。大学の学費が高くなっていること、低賃金・不安定雇用が広がっていることなど、奨学金問題は構造的に生み出されていると指摘されました。そして、回収強化など奨学金が金融事業化されているなど、そもそも奨学金制度の本来の目的に合致していない現状を紹介しました。私たちには、高騰した学費の大幅な引き下げ、給付型奨学金の早急な導入と拡充、貸与型奨学金を無利子に、という提言が示されました。
 さらに、奨学金利用当事者、学校現場、神奈川県高教組からの報告もありました。当事者の大学生からの訴えは切実なものであり、学校現場の教職員も現状に疑問を大いに感じながらも奨学金に関わる業務に携わっていることがわかりました。神奈川県高教組からは、実際のとりくみを紹介し、県内にこの問題の実態を広め運動を進めていることが話されました。
 参加者は、この問題について情報を発信し、広く利用当事者、市民の皆さんとともに運動を広げていくという意思を統一しました。

集会後には、新宿駅前、秋葉原駅前にて街頭行動を行い、奨学金問題に関して市民の皆さんに訴え、署名活動に協力を呼びかけました。

日本教職員組合は、希望する子どもが家庭の経済状況に関わらず高等教育をうけることができるように、とりくんでいきます。

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