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「新しいハラスメント」を防止しましょう‼ 権利行使に関する調査報告

2018/04/03

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日本教職員組合は、育児や介護にかかわる両立支援制度、またリプロダクティブ・ヘルス・ライツの観点による妊娠・出産等に関わる制度の拡充にむけた実態把握のために、昨年8~11月にかけてWeb調査を実施しました。組合員の皆さんから22、724件にのぼる回答が寄せられました。

53・1%が「妊娠障害があった」と回答しています。図にはありませんが、校種別にみると中学校教員が切迫流産36・3%と他の職種より高い傾向にあります。

妊娠障害休暇(図2)、通院休暇(図3)のいずれも、「必要あったが利用していない」と回答している人が20%以上います。さらに、通勤緩和措置(図4)では、3割以上の人が「必要あったが利用していない」という実態がありました。

労働環境が妊娠・出産に影響したと考える人は40・7%にのぼります(図5)。また、図にはありませんが、臨時・非常勤教職員のうち、産前・産後休暇を取得したと回答した人はわずかに10・6%です。立場の弱くなりがちな臨時・非常勤教職員が一層厳しい労働環境に置かれている傾向がみてとれます。

自由記述欄をみると、「妊娠初期に体育大会があり、体調を崩し流産をした」など、仕事の性格上、体調が悪くても業務を優先せざるを得ず、早産、流産、不妊を経験した組合員が少なくないこともわかりました。さらに、「担任になるなら子どもは作るな、と言われた」など、管理職や同僚によるハラスメントが心身への負担になっていることがうかがわれます。

ワーク・ライフ・バランスを推進する上で、男性の育児休業の取得状況がひとつの指標となります。「取得した」割合は、厚労省調査で明らかになった状況と比較すると、組合員の取得率は非常に高いです。各種制度の取得率は、配偶者出産休暇では52・1%と半数強を占めますが、育児休業については10・3%にとどまります。また、育児参加のための休暇の取得率は27・9%です(図6)。

制度を取得しなかった理由については、「取得する必要がなかった」がいずれも4~5割を占めます。一方で、「仕事上の判断」も同程度からそれ以上の回答がありました。さらに、「制度を知らなかった」という回答が配偶者出産休暇制度、育児参加のための休暇で1割強を占め、見過ごすことはできません(図7)。

自由記述欄には「超過勤務が必要のない労働環境の実現」、「どのような権利があるのかを(管理職を含め)教職員全体が再認識する機会を設ける」といった改善点が挙げられました。

介護休暇の取得を「行使した」は「行使しなかった」を大きく下回っています(図8)。制度を行使した組合員のなかでも、周囲への負担を懸念している回答が少なくありません。制度が周知されていない実態も垣間見られ、管理職を含めた研修等の必要性も指摘されています。

親の介護のために定年前に退職する人も多くいることが他の調査でわかっています。制度を行使することで、職場での理解を広めるという効果も報告されています。

キーワードはハラスメント防止

今調査の結果、学校現場は長時間労働できることが前提となっており、保護されるべき妊娠中の同僚、また、時間の制約がある育児、介護を担う同僚に対するハラスメントにつながっている事例も見られました。

教職員の定数改善など国レベルでの改善はもちろんですが、職場、分会でのとりくみも大切です。
・ハラスメントの事例が起きた時の対応について、相談体制など具体的処置の方法について確認する
・生活時間を確保する意義について話し合う
・各種制度について学習する

日本教職員組合は、産休・育休の導入を実現し、その取得を広める運動を続けてきました。「新しいハラスメント」を許さず、風通しのよい職場環境にむけて、ともにとりくんでいきましょう。

用語集はこちら

「権利行使に関する調査」報告書 全文はこちら

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