談話

文科省の09年度予算概算要求に抗議する書記長談話

2008年08月28日

文科省の09年度予算概算要求に抗議する書記長談話

2008年8月28日

日本教職員組合 書記長 岡本泰良

本日、文科省は09年度予算の概算要求を提出した。

その内容は、教員賃金での前代未聞の「マイナス要求(=賃金引下げ要求)」など全く「後ろ向き」の要求と断
じざるを得ない。新学習指導要領への対応を含めた定数改善要求も極めて不十分となっている。これらは、40年ぶりの文科省による勤務実態調査の結果が概算
要求に正しく反映されず、現場の要望に全く応えていない重大な内容である。教育の所管であるはずの文科省自らが「マイナス要求」を提出し、現場への背信行
為ともいえる。

昨年は超勤34時間について、約半分を定数改善等で解消し、残り半分を教職調整額財源を増額するとして要求した。今回の概算要求とは全く異なり、超勤解消・措置策についての説明責任を果している。

「骨太方針2006や行革推進法がネックで要求できない」と言い訳するならば、いったい昨年の要求は何だったのか。行政には継続性が求められるはずである。

7月に閣議決定された教育振興基本計画で、当初の中教審答申にもない「人材確保法に基づく優遇措置を縮減す
る」ことまで記載されていることや、昨年末の三大臣協議における「残る優遇分の縮減を検討する」との財務大臣の発言等から考えて、今後、2.76%以上に
賃金削減が行われ人材確保法そのものの廃止も危惧される。

現状の教育をめぐる状況は、様々な課題が山積しており、地域・保護者からの要請にも的確に応える必要がある。

一方、教職員の休職者は増加し、とりわけ精神疾患による休職者が近年激増している。本来魅力あるべき教職員の仕事は困難性を増し、大量退職・大量採用時代を迎え人材確保に支障が生じることが強く危惧されているのが現状である。

現に民間調査によれば、今年度の小学校教員採用試験の応募倍率は、政令市を含む全国60自治体中22団体が3倍台と低下している。ちなみに、2000年度の小学校教員の実績倍率は12.5倍であった。

文科省が「人材確保法は重要である」と言いつつ、一方で教員賃金を2.76%削減するとしていることは矛盾している。人材確保法の理念が今ほど大切な時はないのではないか。政府は法の趣旨を正しくふまえた給与措置をすべきである。

日本教職員組合は、政府・文科省が悲痛な学校現場の実態をきちんととらえ、改善するための予算編成を行うよう強く求めていく。

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