談話

学校における働き方改革特別部会「中間まとめ」についての書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2017年12月22日

本日、中教審は「学校における働き方改革中間まとめ」を答申した。中教審初等中等教育分科会に設けられた「学校における働き方改革特別部会」では、教員の長時間労働の実態について直ちに改善が必要であるとの認識のもと、概算要求期である8月29日に「緊急提言」を取りまとめ、文科大臣に提出した。その後も6回の審議を行い、この「中間まとめ」がとりまとめられた。日教組はこの間、連合などを通じて、「中間まとめ」への意見反映や傍聴行動を行ってきた。

特別部会では、各委員による教職員の長時間労働是正にむけた熱心な審議が行われ、日教組が求めてきた業務削減の必要性に踏み込んだことは、一定評価できる。しかし、教職員の長時間労働を引き起こしたのは、文科省が「ビルド&ビルドの教育政策」を長年に渡り続けてきたことが最大の要因であり、その転換をはかるべきという点への言及が不十分だったことは、極めて残念である。さらに、18年度文科省予算案を見る限り、長時間労働是正にむけた必要な人的配置や環境整備の十分な予算が確保されていない。また今まで慣例的に行われてきた業務を削減するためには、地域、保護者の理解なくしてはならないが、その対応については教委や学校任せになっており、実効性に欠くと言わざるを得ない。

審議では、次期通常国会に提出予定である、時間外労働の上限規制を設ける労基法改正案に平仄を合わせ、公立学校教員についても、時間外勤務の上限規制に係る法的規制を設けるべきという意見が出された。しかし「中間まとめ」では、「勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインを早急に検討し、実効性をもたせるための方策を示す必要がある」とされたに過ぎない。給特法下では限定4項目に該当し、かつ、臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限って時間外勤務命令が出せるが、それ以外の業務は、「自主的な活動」とされる。よって「自主的な活動」に対し、法的規制を設けない限り、長時間労働の是正にはつながらないことは明白である。また給特法の見直しなど、教員の勤務時間等に関する法制度のあり方については、引き続き議論していくこととなった。特に給特法の見直しの検討にあたっては、地方公務員法、労働関係法令など複数の法制度にまたがる、極めて高度な専門的知見が必要であることから、部会において、専門家を入れて議論する必要性が再三指摘されたにもかかわらず、「中間まとめ」で言及されていないことは極めて遺憾である。

日教組は、「中間まとめ」に示された事項が実効性のある方策となるよう、引き続き連合とともに春季生活闘争期の政策制度要求の重点課題として、首長・教委への要請行動にとりくむ。また文科省に対しては、給特法見直しなど抜本的な制度改革にむけた審議が直ちに特別部会で再開されるよう、一層対策を強化する。 
                                  
以 上 

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