談話

大阪市教組分会会議学校施設使用不許可訴訟の大阪地裁判決に対する書記長談話

日本教職員組合 書記長 清水 秀行
2017年12月21日

昨日、大阪地方裁判所(内藤裕之裁判長)は、日教組事件「大阪市教組分会会議学校施設使用不許可訴訟」について判決を言い渡した。
この訴訟は、大阪市教組の各学校の分会が、勤務時間外に分会会議を開くため、学校施設の使用許可を求めたところ、新たに制定された大阪市労使関係に関する条例(以下、「本件条例」という。)12条で「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないものとする。」と定められたことを根拠に学校長が使用不許可としたことの違法等を主張し、大阪市教組が提訴したものである。本判決は、①代替施設等による分会会議の開催等が困難とまではいえないこと等から、分会会議の会場として学校の使用を許可すべき必要性が高いとまではいえないこと、②本件条例12条が存在し、従前の取扱いを変更して不許可とすることが不合理とまではいえないこと等を理由に、学校長の裁量権の逸脱及び濫用を認めず違法でないと判断した。
しかし、本判決の判断は、学校現場の実情を全く理解しておらず、また、本件条例12条の存在を過度に重視し、長年にわたって学校施設の使用を可能としていた従前の取扱いを軽視するものであり、極めて不当である。
職場に基礎を置く労働組合では、職場内での勤務・労働条件や組織活動に関する討議が最も重要かつ基本的な活動である。また、組合員同士の忌憚のない意見表明や討議は、全員が面と向かって話し合ってこそ充実して行えるものである。しかし、本判決の結論は、このような組合活動を根本から否定し去るものであり、憲法28条が保障する労働組合の団結権に対する侵害を容認する極めて不当な結論である。しかも「電子メールや携帯電話のアプリケーションソフト等を利用して連絡を取り合うことも十分に可能である」との判示は、学校現場での働き方改革が叫ばれる中での分会会議の意義や、児童生徒・保護者や教職員のプライバシー・情報保護の重要性を全く理解していないと言うほかなく、時代錯誤の判決である。
また、本判決は、貸会議室や飲食店の個室等を予約して定例の分会会議を開催することが十分に可能であるとも判示するが、実際には、教職員の長時間労働が社会問題となっており、学校現場では日々新たな問題が発生する中で、およそ困難な対応を各分会に強いるものであって、本判決には甚だしい誤りがある。
このような不当な大阪地裁の判決は、高等裁判所において速やかに破棄されるべきである。
また、本判決が重視する本件条例は、労働組合を敵視し組合活動を不当に制限する趣旨で制定され、憲法28条の保障に反する内容を含むから、本来は直ちに廃止されるべきである。
日教組は、すべての子どもにゆたかな学びと育ちを保障するために、また、教職員の勤務・労働条件を改善するために、引き続き、全国の組合員の分会会議での情報交換や討議を基盤にして、保護者や地域住民、すべての教育関係者等と社会的対話をしながら、様々な課題に真摯にとりくんでいく。
以上

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