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談話

「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」成立に関する書記長談話

日本教職員組合書記長 清水 秀行
2019年12月04日

 本日、第200回臨時国会、参議院本会議において、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律(以下、「改正給特法」)案」が可決、成立した。「改正給特法」は「勤務時間の上限に関するガイドライン」(以下「上限ガイドライン」)を法的根拠のある指針にすることや、中教審答申をふまえ長期休業期間中等に「休日のまとめ取り」を行うことができるように「一年単位の変形労働時間制」を教育職員に適用可能とさせるものである。

 20年4月、「働き方改革関連法」施行により、ほとんどすべての労働者について時間外労働の上限が規制される。指針化される「上限ガイドライン」により、教員についても「時間外勤務時間」上限は月45時間、年間360時間となり、タイムカードやICT等による客観的な勤務時間管理のもとでの遵守が求められる。給特法による矛盾は残るものの「在校等時間」の記録が行政文書として公務災害認定に活用されることには意義があるが、罰則を伴わないことから「持ち帰り業務の増加」や「虚偽の報告」をさせないとりくみが必要である。さらに今国会で、文科省が答弁しているように新たな概念である「在校等時間」と勤務時間との齟齬が生じることが懸念される。給特法の早急な廃止が必至である。
 「一年単位の変形労働時間制」を活用した「休日のまとめ取り」については、閑散期がなく恒常的な時間外労働を強いられている学校現場に導入できる状況とはなっていない。まずは文科省・教委等による徹底した業務削減を行うべきである。また、勤務時間は勤務労働条件であり、地公法にもとづく労使協定を経た教職員の理解と納得が重要であることは言うまでもない。
 この間、日教組は日政連議員・連合等と連携し、給特法の廃止・抜本的見直しを求めるとともに法案の課題を追及すべく国会対策を行ってきた。衆議院、さらに参議院で多くの附帯決議が付されたことは、この法案の課題の多さを示すものである。今後、文科省による省令・指針等の策定、および自治体での方針等の策定・運用にあたって附帯決議をふまえたものとさせていくことが重要である。 
 
 子どもたちのゆたかな学びを保障するために、教職員一人ひとりの生命と健康を守ることが重要である。保護者や地域、働く仲間との連携のもと、社会的対話を一層すすめ「学校の働き方改革」を確実に実現させていかなければならない。「学校を変える」、「働き方を変える」ためには、ここからが始まりである。
 日教組は引き続き、教職員の長時間労働是正のため、文科省・教委、自治体による業務削減、定数改善、給特法の廃止・抜本的見直しにとりくんでいく。
                                             以上

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