• ホーム
  • 声明・談話
  • 談話
  • 「寿都町・神恵内村の核のゴミ最終処理場選定へ向けた『文献調査』応募決定」に対する 書記長談話

談話

「寿都町・神恵内村の核のゴミ最終処理場選定へ向けた『文献調査』応募決定」に対する 書記長談話

日本教職員組合書記長 瀧本 司
2020年10月14日

10月8日、北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場にむけた「文献調査」に応募を決めたことを明らかにした。
 高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)は、使用済み核燃料を再利用するため、プルトニウムを取り出す過程で生じる。しかし、国の核燃料サイクル政策である高速増殖原型炉もんじゅは廃炉となり、混合酸化物(MOX)燃料として利用するプルサーマル発電も導入がすすまず、政策はすでに破綻していると言わざるを得ない。さらに300メートル以上の地下に「地層処分」することが法律で定められているが、核のゴミを何万年も地下に閉じ込めておくことは、長期にわたり核におびえる生活を強いることになる。日本学術会議は「1000年以上先まで安全に保管可能か現段階では予測できない」としている。国は今後原子力政策やエネルギー政策のあり方を議論した上で、「脱原発」をめざし、これ以上核のゴミを出さないことを決断すべきである。
 原子力発電環境整備機構(NUMO)は、「文献調査」において、地質図や学術論文等の文献やデータをもとにした机上調査を行い、調査地区では地域と継続的な対話をすすめ、地層処分事業に関する広報等を行っていくとしている。さらに「電源立地地域対策交付金」が、調査地区に対し20憶円を限度に交付される。次の調査にあたる「概要調査」では、ボーリング等を行って地質を調べ、この際も70億円を限度に交付金が交付される。
 北海道は、2000年10月に北海道における特定放射性廃棄物に関する条例(核抜き条例)を制定し、特定放射性廃棄物の持ち込みについて「受け入れがたい」と宣言している。また、鈴木北海道知事も「この条例は、将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つものであり、私としては、条令を遵守しなければならないと考えます」とし、「概要調査」に入る際の意見表明では反対することを明言している。さらに道内の74市町村長は応募検討に反対している。
両町村の「調査受け入れ」の表明に当たっては、交付金を目的とした一部の推進側の意見だけが尊重され、反対や懸念する住民の意見が十分に反映されたとは言い難い。地域の未来を左右してしまう最終処分場の建設につながる「文献調査」への応募を、一自治体の首長の一存で決めることは暴挙と言わざるを得ない。改めて「調査受け入れ」の再検討を求める。
日教組は「核と人類は共存できない」との立場から、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現とすべての原発の再稼働阻止をめざし、今後とも原水禁・平和フォーラムとともにとりくみを強化していく。
以上

pagetop