談話

「衆議院憲法審査会規程」の強行採決に抗議する書記長談話

2009年06月12日

「衆議院憲法審査会規程」の強行採決に抗議する書記長談話

2009年6月12日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

6月11日、衆議院議院運営委員会、本会議のそれぞれにおいて「衆議院憲法審査会規程」が強行採決され、可決・成立した。

与党は、4月23日に突如「衆議院憲法審査会規程」案を動議として議院運営委員会に提出し、その後与野党から意見聴取を行ったものの、院内外の強い反対にもかかわらず、6月11日に小坂憲次議院運営委員長の職権で議院運営委員会での採決を強行したのに続き、同日中に本会議でも採決した。「憲法をどうするか」に関わることは、どの法にもまして憲法の理念に立脚し、民主主義や主権在民の原則に沿う必要がある。「改憲手続き法」に続き、審査会規程を強行採決したことに強く抗議する。

与党は、憲法審査会を設置したにもかかわらず審査会規程を制定しないことは「立法不作為であり、責任放棄だ」と主張をしていたが、参議院には提出できず、成立の見込みのある衆議院でのみ審査会規程案の提出を強行したことは、その主張が虚構であり、過半数を握っている間に改憲が可能な条件整備をすすめようとするもので、断じて容認できない。

また、衆議院解散を目前にして、次期政権で与党としての責任を果たすことができるかわからない中で、野党の合意もないまま審査会規程を強行に成立させたことは、無責任な暴挙であると言わざるを得ない。審査会規程の審議・制定の前に、国民の信を問うべきである。国民が今求めているのは、憲法の「改正」にむけた憲法審査会の始動や論議ではなく、経済・雇用対策と安心して生活することができるセーフティネットの充実である。

現在のところ、与党は、「憲法審査会は衆議院のみでも始動できるが、参議院で規程を制定するまで審議は始めない方針」としている。「改憲手続き法」の附帯決議が示す問題の解決を優先すべきであり、参議院憲法審査会規程の制定や憲法審査会の始動については、国民的合意や憲法論議の必要性を十分に検討することが不可欠である。

日本教職員組合は、「衆議院憲法審査会規程」の強行採決に抗議するとともに、衆議院において憲法審査会を拙速に始動させないことを強く求める。また、憲法の改悪・空洞化の動きを許さず、幅広い護憲勢力の拡大をはかり、数の力をもって暴挙を繰り返す政府与党に対し、政権交代をめざして組織の総力をあげてとりくみをすすめていく。

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