談話

小学校2年生の35人以下学級等に係る政府予算案の閣議決定についての書記長談話

2011年12月26日

小学校2年生の35人以下学級等に係る政府予算案の閣議決定についての書記長談話

2011年12月26日

 日本教職員組合書記長 岡本 泰良

政府は、2012年度政府予算案において、文科省が概算要求に盛り込んだ小学校2年生の35人以下学級の実施について、法改正を見送った。

その背景には、小学校2年生への拡大が、予算編成に関する政府・与党会議で特別枠の重点事業から外れ「準ずる」扱いになったことに見られるように、東日本大震災からの復興が予算編成の最優先課題となり、緊急対応以外の財政負担増を避けるなど、極めて厳しい予算編成であったことがあげられる。また、通常国会における予算審議において、野党の対応が極めて厳しいことが予測され、こうしたことも考慮したものと推測される。

法改正は見送られたものの、文科、財務両省は折衝の結果、小学校2年生の35人以下学級を実施していない県に必要な900人の加配定数の拡充を盛り込んだ。また、中学校学習支援や特別支援教育、小学校専科指導、さらに東日本大震災にかかる教育復興支援加配など計2,900人の新規加配については、満額認められた。

また、給付型奨学金の創設は見送られたものの、無利子奨学金の貸与を受けた低所得世帯(年収300万円以下)の学生に、一定の収入を得るまでの期間、返済を猶予する制度が創設されたことは一定の評価ができる。なお、国立大学法人運営費交付金については0.9%削減されたが、新たに、国立大学改革強化推進事業(仮称)が新設された。

小学校2年生の35人以下学級の法改正を見送ったことは、不満が残るものの、実質的に2年生の35人以下学級実施につながる措置であること、また、定数改善総数についても昨年の2,300人を上回る3,800人が措置されたことは評価できる。加えて、今後の少人数学級の推進について、文科、財務両省が「教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行う」こと等を盛り込んだ文書を公表したことは、2013年度以降、少人数学級を計画的に推進するための手がかりとなる。

日本教職員組合は、この間、すべての単位組合とともに、国会議員への要請活動、文科省政務三役・民主党要請等を行うとともに、「子ども支援連絡会」に結集し、全国集会の開催、政党要請等を行ってきた。

今後は、政府予算案が来年度予算として確定されるようとりくみを強化していくとともに、小学校2年生以上における35人以下学級の制度化、さらに、小学校から高校までの30人以下学級の実現にむけ、引き続き全力をあげてとりくんでいく。

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