談話

大飯原発の再稼働決定に対する書記長談話

2012年06月25日

大飯原発の再稼働決定に対する書記長談話

2012年6月25日

 日本教職員組合 書記長 岡本 泰良

政府は6月16日、大飯原発3・4号機の再稼働を決定した。
 日本教職員組合は、「原発安全神話」の復活とも言える今回の再稼働決定に強く抗議する。政府の決定は、以下のような様々な問題があり厳しく批判されなければならない。

1.政府の事故調査・検証委員会及び国会の事故調査委員会の報告書は未だ提出されず、原発事故の原因は解明されていない。また、ストレステストは、一次評価を終えただけで事故調査・検証委員会の検討状況を踏まえた二次評価は終了していない。

2.原子力安全・保安院による30項目の安全対策について、政府は「着実な実施計画が事業者により明らかにされていること」で足りるとし、防波堤のかさ上げ、免震棟の建設やベントフィルターの設置などの安全対策は実際には講じられていない。また、原発事故時の放射性物質拡散予測情報の提供が不十分であり、住民の避難計画が未整備の市町村がある。

3.大飯原発内には断層が存在し、周辺の海底活断層の動きに連動する可能性が専門家から指摘されている。原子力安全委員会も「最新の知見が出たなら、原子力安全・保安院で評価をしっかりやり直すべきだ」との見解を示している。しかし、国や関電は十分な調査をすることなく「考慮済み」との姿勢を崩していない。

4.5月5日から全国すべての原発が停止しているが、停電等の混乱は起きていない。5月18日には政府の「エネルギー・環境会議」が、原発を稼働させることなく広域的な電力の融通や節電によって今夏を乗り切る電力需給対策をまとめている。「電力不足」を口実にした野田首相の「国民生活を守るため再稼働すべき」との発言は、「再稼働ありき」の姿勢である。各種世論調査でも国民の過半数は、原発再稼働を望んでいない。

以上のように、政府は事故の原因解明や事故原因にもとづく万全の安全対策が講じられていない状況で、大飯原発の再稼動を決定した。また、他の原発でも「電力不足」を口実にした再稼動の動きが加速している。政府に求められることは、破綻した原子力政策をなし崩し的に温存させる原発再稼働ではなく、政府の脱原発依存の方針にもとづき、代替エネルギーの研究と実用化を促進することである。

日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」ことを確認し、原子力政策推進から再生エネルギーの促進、省エネルギー推進への政策転換を求めてきた。今後も平和フォーラム・原水禁とともに経済優先から人命優先にシフトする脱原発社会の実現をめざしとりくみを強化していく。

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