弁護団コラム

弁護団コラム(第20回)~個人情報の基礎②(具体例をもとに考えよう)~

2024年09月03日
A: 今日は、個人情報の漏洩や流出について、具体例をもとに、もう少し詳しく教えてくだい。
B: うん。では、実際に報告された最近の事例をもとに、一緒に原因や対策を考えてみよう。
  同僚の教職員間で、子どもの成績情報が含まれるデータを添付したメールを送ろうとしたところ、誤って、ドメイン部分を誤ったメールアドレス宛に送信してしまった。さて、どこに問題があるかな?
A: 送信先のアドレスを十分に確認しなかったこと、ですよね。
B: そうだね。個人情報を含む重要なメールを送る場合には、まずは送信前に確認のメール
  (空メールなど)を互いに送付する、添付ファイルを暗号化したりパスワードをつける、といった作業は最低限必要となるよね。ただ、こういった機密性の高い個人情報をメールで送ること自体、やめておくべきだろう。教育委員会や学校によっては禁止しているところも多いのではないかな。
A: 確かに、成績などをメール添付で送ること自体、問題といえそうですね。
  他に、どんな事例がありますか。
B: そうだなあ。Aさんも教務手帳を持っていると思うけど、ここには、子どもの名前、出欠
  状況や成績など、個人情報が詰まっているよね。この教務手帳の紛失についても、度々報告されているよ。
A: 学校の外に持ち出さないことが鉄則ですよね?
B: うん。それによって、電車内で鞄ごと置き忘れる、車上荒らし犯に持ち去られる、といっ
  た事態を防ぐことができる。ただ、校内や職員室内で紛失したケースも相当数報告されているよ。どうすれば防げるかな?
A: 常に手元から離さない、鍵のかかる引出しやロッカーにしまう、といったことでしょうか。
  ただ、管理に気をつけないといけないのは教務手帳だけではないですよね。
B: うん。答案用紙、子どもから受けた教育相談のノート、USBなど、実際には多岐にわた
  るよね。そういえば、最近、子どもの個人情報や、特定の子どもに関する不適切な文言も記載された書類のファイルを校内に置き忘れ、それを複数の子どもが目にし、後日、スマートフォンで撮影したとみられる画像がネット上に流出した、という報道もあったね。
A: 怖いですね。忙しいと、つい管理が甘くなりがちですが、万一紛失や置き忘れをしたら大
  変な事態になることを意識したいと思います。
  ところで、ここ最近、GIGAスクール構想が進められ、ある集団(学校・学年・クラス・委員会など)を1つのチーム(グループ)として管理して、ファイルや情報を発信したり共有したりすることが増えたのですが、実は使い方がよく理解できていません。
B: 学校現場でも、コミュニケーション プラットフォームなどの共有システムが広く利用さ
  れているようだね。その一方で、子どもの個人情報が、そのチーム(グループ)以外の人にも閲覧できてしまう、といった事故が相次いでいるよ。チーム(グループ)を作成する際は、公開範囲を「プライベート」にする必要があるのだけど、プライバシー設定を誤って「パブリック」にしてしまったという、ケアレスミスが原因のようだ。各学校で運用方法について共有し、チェックリストを作ることが必要だろう。
A: そうですね。私も、再度使い方を理解・見直しておきたいと思います。
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