弁護団コラム

弁護団コラム(第17回)~衛生委員会ってなんだろう?(その1)~

2023年12月13日
教員A: B先生、こんばんは。学校に設置する委員会について、一つ教えて欲しいことがあるのですが。
教員B: えっなんだい。
A: 今度、初めて参加する全国教育研究集会のリポートを見ていたら「衛生委員会」という言葉が出
てきたのですが、Bさんならきっとご存じかと思ったので。
B: 全国教研かぁ、今度の教研は久しぶりの対面開催で楽しみだね。私も時間があれば、是非傍聴に
行きたいな。さてと、衛生委員会だけど、簡単に言えば、学校で働く教職員の健康を守って向上させる委員会ということになるかな。労働安全衛生法という法律に基づいて学校毎に設ける委員会という位置付けになっている。
A: 法律に基づく委員会なら、きっと大事な役割があるのですね。
B: そのとおり。労働安全衛生法では、事業者である地方自治体等の学校設置者は、労働災災害防止
のための基準を守るだけではなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保する義務を負うと定めている。
A: 学校設置者って、教育委員会ですよね。教育委員会に意見が言えるってことですか?
B: そうだね。教育委員会が衛生委員会の意見を無視して教職員の健康を守るための改善を怠ると義
務違反になって責任が問われるという仕組みだ。
A: そうすると衛生委員会は教職員の健康を守るために役立ちそうですね。でも、私の学校には確か
衛生委員会はなかったような気がします。
B: 法律は働く人の数が常時50人以上の規模の事業場を衛生委員会の設置義務の対象にしているの
ので、まだ衛生委員会が置かれていない学校があるかもしれない。
A: そうなんですか、残念だなぁ。全国教研のリポートには衛生委員会を活用して教職員の働き方改
革にとりくんだ報告があったので、いいぞと思ったのですが。
B: いや、諦めるのは早いよ。「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」(2019年3
月18日発の文部科学事務次官通知)の中では、労働安全衛生管理の徹底の方法として、「(中央教育審議会の答申において)法令上の義務が課されていない学校においても、学校の設置者は可能な限り法令上の義務が課されている学校に準じた労働安全衛生管理体制の充実に努めることとされていることを踏まえ、各教育委員会は適切な措置を行うこと」が指示されていて、働く人が50人未満の学校にも衛生委員会の設置が強く求められているんだよ。
A: なるほど、勇気が湧いてきました。次の機会に衛生委員会の具体的な作り方と活用方法について
是非教えてください。
B: じゃあそれまでに、日本教職員組合編『日本の教育』の第66集323頁と第67集322頁の「このリ
ポートに学ぶ」を是非読んでおくといい(※)。衛生委員会を活用した素晴らしい実践例が紹介されているよ。

※「日本の教育」:(株)アドバンテージサーバー 発刊

 

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