弁護団コラム

弁護団コラム(第18回) ~衛生委員会ってなんだろう?(その2)~

2024年01月31日
教員A: Bさん、今日は「衛生委員会」の作り方と活用方法について教えてください。前回のお話で
は、法律では常時50人以上が働く職場が衛生委員会の設置義務の対象になるけれど、50人未満の職場でも働き方改革の下で教職員の健康を守り向上させるために衛生委員会の設置が積極的に求められているということでしたね。
教員B: そう、さっそく全国教研での学びがいきているようだね。衛生委員会のない学校では、学校
設置者に対し委員会を作るように求めることが出発点になる。地域の実情に応じて分会で議論して学校長と交渉するか、組合で教育委員会と交渉するかを考えるといい。
教員A: 衛生委員会がないと教職員の命と健康を守る校内活動はできないのでしょうか。
教員B: そんなことはないよ。学校設置者は教職員の安全と健康を守る法律上の義務を負っていて、
委員会がない場合でも安全衛生につき教職員の意見を聴く機会を設ける義務があるから、例えば時間外勤務の過重労働が常態化していれば、業務を精選して時間外勤務を減らすように分会で問題提起して交渉することもできる。
教員A: 確かに分会が大事ですよね。
教員B: 10人以上の職場であれば「衛生推進者」を選ぶことになっているから、衛生推進者と協力
して、教職員の健康被害の防止や健康の保持増進の対策を検討し、具体的な対策や改善を学校長や教育委員会に求めることも可能だ。
教員A: そういえば、全国教研の過去のリポートにも、組合員が積極的に衛生推進者の資格を取っ
って、超勤削減や多忙化解消を学校の労働安全衛生の中心課題としてとりくんだ例が報告されていました(日本教職員組合編『第66集 日本の教育』323頁以下を参照)。(※)
教員B: 衛生委員会や衛生推進者の制度活用の好例だね。衛生委員会には教職員からも委
員として参加することが法律で決まっているし、毎月1回以上開催する義務があるから、教職員の立場で問題提起をして継続的なとりくみを行うことができる。
教員A: 具体的にはどのように衛生委員会を活用していけばいいのでしょうか。
教員B: まず、学校毎に教職員の健康被害の防止や健康の保持増進の対策として何が必要かを考える
ことが大事だと思う。それを考えた上で、具体的なとりくみを検討していくことになるだろう。
教員A: 隠れている課題を見つけるためには、教職員に対するアンケートも有効ですね。
教員B: そうだね。衛生委員会で職場環境改善調査のアンケートを行って分析・議論した
り、衛生委員会で労働時間調査の結果を踏まえた超勤削減の目標を設定した上で目標達成のために具体的に削減する業務に関するアンケートを行って分析・議論したりして、その結果を職員会議や教育課程編成の会議にフィードバックして職場環境の改善や多忙な業務の削減を行った例がある。
教員A: へぇ!
教員B: また、衛生委員会の議事の概要を教職員に周知させる学校設置者の義務があることを使用し
て、定期的に校内通信を発行し労働安全衛生に関する有用な情報提供と議事内容をセットで報告して委員会の主体性をアピールしつつ働き方改革の対策を実効化した例もある。
教員A: なるほど、よくわかりました。明日の分会会議で提案してみます!

※「日本の教育」:(株)アドバンテージサーバー 発刊

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