弁護団コラム

JTU弁護団コラム(第10回) 著作物の利用について(その2)

2022年09月15日
教職員: 第1回は、組合主催の研究会で、担任の子どもの作文を題材に発表する場合の法的な問題点を確認して、慎重に対応する必要があることを理解しました。今回は学校での著作権の問題を質問させてください。
弁護士: はい、承知しました。
教職員: まず、教科書に載っている現代詩や子どもが考えた詩を学級通信に載せて紹介することは授業の延長と考えて問題ないと考えてよいでしょうか。学級通信は子どもの様子を保護者に伝える大切な文書ですし、保護者が目にする学級通信に作品を載せることは子どもの意欲や自信にもつながりますので、積極的に行いたいと考えています。
弁護士: 教科書の詩を学級通信に載せることは授業過程での利用ではありませんので、著作権者である詩の作者の承諾が必要になります。子どもの詩の場合も、学級通信に載せることについて、著作権者である本人や保護者の承諾が必要です。作者の承諾が不要なのは、詩人では中原中也、宮沢賢治や八木重吉などのように、亡くなってから暦年で70年が経過し著作権が消滅して、パブリックドメイン(公共財)として自由に利用できる場合です。
教職員: 私の学校でも、子どもの作品を外部に紹介したり出品したりするときには、きちんと説明して保護者や本人の承諾を取っています。承諾を得ることは、前回ご指摘のあった個人情報保護や公務員の秘密保持の観点からも重要になりますね。
弁護士: そのとおりです。子どもの作品を外部に出すときには、外部での作品の取扱方法を事前によく確認した上で、保護者と本人に丁寧に説明して承諾を得る必要があります。
教職員: 学校のウェブサイトに掲載する場合も、学級通信と同じ配慮が必要でしょうか。
弁護士: そうです。子どもの作品だけではなく、学校の教職員が撮った写真や動画をウェブサイトに掲載する場合も注意が必要です。子どもが写真や動画に写っているときには、肖像権やプライバシーに配慮して、保護者と本人の承諾が必要になります。
教職員: 事前に注意しなくてはならないことが多いですね。よくわかりました。では、次回は、学校の授業との関連でさらにお尋ねしたいと思います。
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