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熊本地震から1年②・・熊本地震、震災復興に向けて今、思うこと

2017/04/11

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震災以来全国の方からのご支援に大変感謝しています。人と人とのつながりがこんなにも人間に勇気を与えるものなのかということを実感しています。
復興が始まったばかりの熊本で今何が課題なのかということについてお話します。
今一番の課題は「助けて」「無理です」「できません」がどんどん言いにくくなっているということです。
震災以来1年たちます。テレビでは全国放送で「がんばっている熊本」の姿がどのチャンネルでも映し出されます。震災がなければわざわざ熊本へ取材に来ることもなかったであろう有名な方々も「がんばっている熊本」を探しに来られます。
確かに震災前の生活を取り戻すために必死になっている姿があることは事実です。しかし、自分の力ではどうにもならない状況に立ち尽くしている人たちはまだまだたくさんいます。時間の経過でどんどん復興は個人の責任になってきていることを肌で感じます。先日復興相が東北の震災復興に関わって「基本的には自己責任」と発言したことがそれを証明しています。
学校現場でも震災の有無にかかわらず「学力充実」「体力向上」を迫られます。「できないことを震災のせいにしたくない」「こんな時だからこそ震災のなかったところには負けられない」といった掛声のほうが大きく「ちょっと待ってください」「無理です」がどんどん言いにくくなっています。
震災復興には順番があります。どうしても社会的に弱い立場の方が後回しにされます。実はそれは震災直後も全く同じだったのです。赤ちゃんが泣くので車中泊を余儀なくされました。障害のある方も住める仮設住宅が建ったのは最後の方でした。復旧が進むのも国、県、市町村の順番です。民間では中小企業より大企業が先です。簡単に言うとお金をかけられる順です。学校の体育館の修復などは入札不調が続いており、手つかずのところがたくさんあります。最後までやりきることを一番に国からはっきりと表明してほしいです。
熊本市で一番大きな墓園があります。そこはまるで震災以来時間が止まっているかの如く墓石がドミノ倒しのようにバタバタと倒れています。納骨してあった空間が丸見えのままのものもあります。お墓の修復には一切補助金などはありません。この墓園が元通りになるのにどれだけの時間がかかるのかと想像すると、復興の道のりの長さを改めて実感させられます。熊本の本当の復興はこれから始まります。

熊本県教職員組合 書記長 上杉謙一郎

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