ニュース
能登半島地震・豪雨災害の被災地を訪ねて
2024/12/20
日本教職員組合中央執行委員長 梶原 貴
12月11日、石川県高両教組の案内のもと、能登地方を視察、並びに組合員の皆さんと対話させていただきました。短時間の滞在でしたが、発災から1年を経過しているにもかかわらず、家屋撤去や水道の復旧がすすんでいない、報道では伝わってこない現状や、被災当事者である教職員の皆さんが、懸命に教育復興にむけてご尽力されている姿に胸をうたれました。
視察行程 12月11日(水)
午前 能登空港着 奥能登支部書記局訪問、珠洲地方視察
昼休み 高教組の案内で珠洲市内組合員との対話集会①
午後 輪島地方視察
輪島中学校旧体育館(現在避難所)等、視察
夕刻 県教組の案内で輪島市6校合同小学校視察、同校・近隣高校組合員との合同対話集会②
対話集会にご参加いただいた組合員の皆さんからの意見
〇みずおか俊一議員が1月5日に現地視察、並びに県高両教組にお見舞いに来ていただき、心強かった。
〇兵庫県震災・学校支援チーム(EARTH)の教職員の皆さんの初動の速さに驚いた。
〇連合ボランティア、日教組ボランティアの皆さんに感謝。
- ●現在6小学校が一つになっているが、平時の統合でも負荷がかかるが、多くのなかまが被災した中での突然の統合で、心身に疲労がたまり、どこにぶつけていいかわからない思いが募っている。
- ●多くの人が被災して疲れていて、互いに声を掛け合っているが、全て共有できているわけではない。時間をかけてでも思いを吐き出すようにしないと、気持ちが持たない。
- ●管理職から「震度5強以上の地震の際には、全職員すぐに出勤して学校の被害状況を確認することがマニュアルで決められている」と23年5月の地震の際に言われていた。しかし24年1月の発災時、自身も被災して途方に暮れ、数日たってやっと出勤したが、管理職の前では気まずい雰囲気があった。
- ●発災直後、自身が被災しているにもかかわらず勤務校に出勤しなくてはならず、自分の子どもを実家に預けての勤務になった。「特休」の取り扱いに柔軟性が必要だと感じた。
- ●校舎の半分でまだ断水状態が続いている。早急に改善してもらいたい。
- ●とにかく教職員が足りない。授業をしながら、空き時間や放課後に精神的に不安定な子どものケアをしているが、業務量が多く疲弊している。
- ●全国的に病休・産育休等の補充がなく、教職員不足だが、能登も同じかそれ以上。早く欠員を補充してほしい。
- ●子どもの転出が多く、事務職員の負担が大きく、加配等が必要。
- ●精神的に不安定な子どもは、非常勤のスクールカウンセラーでは心を開きにくい。やはり、常に一緒にいる担任には少しずつ心の内を吐露してくれるので、少人数学級等で子どもたちに丁寧に寄り添う体制整備が必要。
- ●仮設のプレハブ校舎のため空き教室がなく、個別対応したい子どもに十分対応できていない。
- ●輪島市では全国学力学習状況調査を10月に実施したが、はたして意味があるのか疑問だった。
- ●発災時には避難所になることを考えれば、全国の学校施設の建築基準を、警察署や消防署の建物と同等な強度を持つよう基準を変更することが必要ではないか。
改めて、お亡くなりになった方々に哀悼の意をささげるとともに、被災されたすべての方々にお見舞い申し上げます。日教組は、一日も早い復旧・復興をお祈りし、日政連国会議員と共有し、課題解決にとりくんでまいります。
石川県高の皆さんには快く受け入れ、ご意見をお聞かせいただきありがとうございました。皆さんお一人おひとりの心身の健康にぜひご留意いただきたいと思います。