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「質の高い教育のために連帯しよう」キャンペーン開始諸行事が開催されました。~ニューヨーク、10月3日~

2013/11/04

「質の高い教育のために連帯しよう」キャンペーン開始
諸行事が開催されました。~ニューヨーク、10月3日~

2013年11月4日

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1995年、164か国の政府は国連ミレニアム開発目標にサインし、5項目を2014年までに達成することを約束しました。そのひとつには、すべての子どもに無償の初等教育を提供する、という事項があります。教育インターナショナル(EI)は、これを「万人のための教育(Education For All, EFA)」として、その実現に向け、国連・ユネスコ・世界銀行・ILOなどの国際機関と連携してとりくんできました。日本教職員組合はEI加盟組織としてEFAに関与し、国際的な労働運動の場だけでなく、国内のとりくみでも社会的対話にもとづいた運動をすすめてきました。なかでも、教育改革キャンペーンはEFAの趣旨と一致しており、国内での運動の柱として位置づけられます。

EFAの達成はひじょうに難しいと考えられています。児童労働に携わる子どもはいまだに1億6800万人います。2009年の金融危機以来、各国の教育予算は減額傾向にあり、また、国際機関から支援を受けて教育予算をねん出している途上国では、その支援額が減額されています。こうした現状をうけ、EIは2015年以降をみすえた運動を開始しました。そのスタートが「質の高い教育のために連帯しよう(UQE)」キャンペーンです。EFAの意義を再確認し、2015年以降も一層力を入れてその達成にとりくむよう、国際機関・各国政府にもとめ、世界中の177の加盟組織の3000万人の組合員が一丸となってとりくむことをめざしたキャンペーンです。さらに、単に教育を保障するだけでは十分ではないという認識に立っています。質の高い教員、質の高い教材、質の高い教育環境という3本柱)を立て、「質の高い教育」を保障することを今後の課題としています。

岡本書記長は教育インターナショナル・アジア太平洋地域(EIAP)議長として、ニューヨークで行われた諸行事に参加し、世界教職員フォーラムの場でスピーチを行いました。 [動画はこちら]

日本教職員組合の岡本です。先月、クアラルンプールで開催された第7回EIAP地域会議において、議長に選出されました。EIAP議長としての最初の仕事が、このMQE開始式であり、興奮とともに重要な使命感を感じています。日本のみならずアジア・太平洋地域、さらには世界中の子どもたちのために、このキャンペーンの成功にむけ、全力を傾けていきたいと考えます。

さて、最初に、質の高い公教育の実現にむけた日本の現状と課題について述べたいと思います。残念ながら、日本においては、新自由主義的な考えや国家主義的な政策を押し進めようとする政治勢力が大きくなり、教育にもその考えが押し付けられようとしています。

日本教職員組合の具体のとりくみの一つに「少人数学級の実現」があります。2009年、「チルドレン・ファースト」を掲げる民主党政権が誕生し、30年ぶりにクラスサイズを40人から35人に順次移行していく決定がなされました。小学校1年生からスタートし、2年生まで何とか実現したのですが、昨年末、再度、政権の座についた自民党は、この計画をストップさせてしまいました。

また、日本では、教育費の私費負担の増加が大きな課題となっています。前政権の民主党は、「高校授業料の無償化」を決定するとともに、国連「社会権規約」の批准に関して、「無償教育の漸進的導入」の留保を撤回しました。しかし、これについても、自民党政権は否定的な政策を打ち出しており、高校授業料の無償化に「保護者の所得制限」を設定しようとしています。高等教育については、無償化の議論はされず、経済界の強い要請を受け、「国際的競争力の強化」優先の改革を押し進めようとしています。

教育における新自由主義的政策の課題は、韓国においても深刻な状況であることが、EIAP地域会議でも報告されました。さらに、アジア・太平洋地域では、今このときも、紛争地域において逃げ惑う子どもや、学校に行きたくても生活のために働かざるを得ない子どもがおり、国連ミレニアム開発目標の一つである「初等教育の完全普及」を2015年までに達成できない国が数多く存在しています。

平和・人権・環境・共生、そして民主主義が尊重される社会を形成することは、21世紀に生きる私たちの使命です。それを実現するためには教育が何よりも重要であり、学校はその象徴的存在でなければなりません。政府や議員への直接の働きかけは、もちろん重要なとりくみであり、粘り強く続けていきます。しかし、それだけでは不十分であると考えます。日本教職員組合は、現在、子ども・保護者・市民との社会的対話をとりくみの中心に位置付け、対話集会やシンポジウムを各県教職員組合とともに開催しています。11月には、マスコミも活用した教育キャンペーンを全国で展開します。

以上を、私からの報告とします。ともに頑張りましょう! ありがとうございました。

「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、日本国内だけでなく、国際的な労働運動のとりくみにも活かされます。紛争地域で危険にさらされている子どもにも教育を保障し、EFAを国際的に広める運動をEIのなかまとともにすすめていきましょう。

 

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