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2019年 学校現場の働き方改革に関する意識調査

2019/11/21

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写真 文科記者クラブで会見を行う清水書記長(中央)

 2019年6月、文部科学省は小中393校、教員6,966人が参加したOECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018の結果を公表しました。社会全体で働き方改革が進められる中、中学校教員の1週間の仕事時間は前回調査(2013年)より2.1時間増加し、平均56.0時間でした。今回調査に初参加した小学校教員の1週間の仕事時間は平均54.4時間と、ともに参加国平均38.3時間を大きく上回り、再び日本の教員が「世界一仕事時間が長い」ことが示されました。
 「学校の働き方改革」の効果は、教職員が「長時間労働が是正されたと実感できる」かで測ることができます。そこで日教組は、昨年に引き続き「学校現場の働き方改革に関する意識調査」を2019年7月~8月にかけてWeb調査という形式で実施し、9,080人から回答を得ることができました。調査に回答、協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。
 アンケート結果では、18年に比べわずかながら勤務時間は短くなっているものの、「勤務時間短縮ために自宅に持ち帰った」との回答率の増加や、出退勤時間の把握が「自己申告」や「管理職による目視」による非客観的把握方法が4割を超える実態など、課題が明らかになりました。
 日教組は本日11月21日に報道機関に公表し、「現場教職員の声」として社会に発信するとともに、調査結果をもとに文科省との協議、日政連議員と連携した国会対策等を強化していきます。

【調査の結果概要】
1.勤務時間
 勤務日(月~金)、週休日における学校内勤務時間、週休日の自宅での仕事時間は昨年調査より微減しましたが、勤務日における自宅での仕事時間は変わらず、2/3の人が勤務日に自宅で仕事を行っていることがわかりました。

2.勤務時間の変化の実感  
 「変わらなかった」が5割弱~6割強を占めましたが、すべての項目で「減少した」実感が2018年調査より増加しました。しかし、自宅で行った仕事の時間は勤務日・週休日とも「増加した」実感が多くみられました。

3.勤務の把握状況について
 管理職による出退勤の把握の状況はほとんど変化がありません。
勤務時間の把握の方法は「自己申告」が3割弱、「管理者による目視」が16.2%と、非客観的方法による管理となっています。なお、週休日・休日の勤務時間「把握をしている」のは4割を下回っています。

4.長時間労働是正のためにとりくんだこと
 長時間労働是正のため「勤務時間を早めるために自宅に仕事を持ち帰った」人の割合が2割、勤務日・週休日における自宅での仕事の割合、時間と相関していることがわかります。
また、部活動指導においてとりくまれたことは中学校、高等学校での違いが大きい結果となりました。高等学校で「特に何も行われていない」の率がどの項目でも高かったです。

5.通知等の周知状況
 勤務時間にかかわる項目や業務の適正化について「聞いたことはない」が3割強を占めています。「具体的内容を知っている」「ある程度は知っている」は3割未満から4割強にとどまっています。

6.夏季休業関係
 回答者の95.0%が閉庁日は「ある」と回答しました。しかし、高等学校では「ある」54.4%、「ない」45.6%という結果になっています。閉庁日の平均日数は2018年に引き続き6割が「3日」と回答しています。なお、連続休暇日数、計画通りの休暇日数には大きな変化は見られませんでした。夏季休業中の業務負担の実感としては「減少する」が2018年の15.2%から30.6%に増加しました。

7.部活動について 
 部活動でのとりくみは中学校、高等学校の校種による違いが大きく、顧問の多い中学校と高等学校とを対比してみると、<減少した>は文化部顧問の割合の大きい高等学校よりも運動部顧問の割合の大きい中学校で多く、2018年調査と比べると、運動部顧問の割合の大きい中学校で一層部活動指導時間の減少を実感した人が多くなっています。

※調査報告書の全文は以下をご参照ください。
2019webダイジェスト版
調査結果の概要:2019年学校現場の働き方改革に関する意識調査

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