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東日本大震災・東電福島第一原発事故から9年
2020/03/11
東日本大震災・東電福島第一原発事故から9年が経過しました。4万8千人あまりの人が避難生活を強いられており、さらに補償や健康、地域社会におけるさまざまな課題が残され、復興はまだ途上にあります。また、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、予定されていた追悼行事や交流イベントが中止となるなど、複雑な思いを抱く人は少なくありません。
この間の日本教職員組合、および被災地の教職員組合の継続した教育復興支援にとりくみは、組合のネットワークや教育研究活動を通じて、確実に語り継がれています。
毎年開催される「教育研究全国集会(以下、全国教研)」でも、その実践が発表されています。2016年2月開催の第65次全国教研から、「総合学習」から名称変更した、「総合学習と防災・減災教育」分科会では、被災地の教育現場の状況や山積する子どもたちの課題に向き合うだけでなく、いのちや人権を軸とした議論が展開されています。
今年1月に行われた上記分科会でも、被災地から以下のような教育実践が報告されました。
福島県からは、閉校する浪江中と新設されるなみえ創成中の「原発事故をなかったことにさせない」とりくみの報告がありました。はじめに浪江町について、ステンドグラス風に「絵」を描き、「AR」の技術を使って「絵」をスマートフォンやタブレットで読み込むことにより、より詳しい説明や、関係する画像や動画を見ることができるようにしたとりくみの紹介がありました。また、なみえ創成中では浪江町の「農業」に視点をあてた活動が行われていることが報告されました。原発災害被害の自治体の学校として話題性は大きく、浪江町の復興・再生の大きな役割を担っているなみえ創成中が、町内外に発信していく重要性を強く感じさせられました。
岩手県からは、「生徒とともに、復興・防災・減災を考える~復興研究会の活動を通して~」とする高校での実践報告がありました。勤務校のある大槌町は東日本大震災により甚大な被害を受け、今でも仮設住宅で暮らしている町民もいます。震災発災時は勤務校が避難所となりたくさんの町民が押し寄せました。また、多くの自治体職員が津波の犠牲になり、避難所の運営は教職員と生徒たちが担わざるを得ない状況でした。やがて落ち着きを取り戻し始めたころ、生徒の中から、震災と向き合い大槌の復興にむけ何かをしたいとの声があがり、それが復興研究会という形で実を結びました。報告者は震災を風化させないために生徒が作った「防災紙芝居」を英語に直すなど、その活動を広げるためのとりくみを今も重ねています。
日本教職員組合はこれからも絆を大切に、「思いをつなぐ」とりくみを継続していきます。