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清水中央執行委員長より 「水無月に想う」

2020/06/30

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水無月に想う

6月に入り、分散登校などもありましたが、学校再開が本格的に動き始めました。6月19日には、都道府県をまたぐ移動自粛要請も緩和されました。
文科省は、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~『学校の新しい生活様式』~」を通知していますが、学校現場からは次のような声があがっています。
・「登校時の健康チェックが大変です」、「昇降口が密になっています」
・「保健室のゾーニング(間取り)が大変です」
・「教室内の密を避けるには12人が限界です」
・「給食は無言でも歯磨きは飛沫だらけです」
・「音楽の授業が不安です」、「水泳の授業が大変です」
・「猛暑での授業や部活動・登下校中の熱中症が心配です」
・「教室などの消毒作業に2時間かかります」
また、こんな不安の声も届けられています。
・「土曜授業が心配です」
・「教科の評価に困っています。特に中学3年生は悩んでいます」
・「部活動の先行きが見えず心配です」
・「延期した遠足や修学旅行、運動会や文化祭などをどうするのか。先行きが見えなく決められないで困っています」
・「テレワークができません。特に事務職員や養護教員は困難です」
・「妊娠中の女性の母性健康管理が困難です」
子どもにかかわっては、卒業した高校生や大学生などの就職内定取り消しや入社待機など、その後を心配する訴えや、長期休業による生活習慣(リズム)の乱れ、学力格差が開いてしまっている現状を指摘する意見などが寄せられています。また、学校再開後の授業や時数確保が優先され、行事の中止や縮小が行われる中で、子どもの荒れにつながることを懸念する意見も寄せられています。
子ども・教職員の感染防止など安全・安心にかかわること、子どもの学力保障にかかわること、そして教職員の働き方にかかわることなど、様々な学校現場の声や意見を大切にするとともに、常に子どもにとって何が大事にされるべきなのかを議論していきたいと思います。
日本教職員組合はこの間、文科省や各政党に対して、学生への支援金給付、大幅な教職員・スタッフの増員やマスク・消毒薬等の保健衛生器材の整備を求めるとともに、すべての学校・園に「学習保障・感染症対策費」を給付する必要性を訴えてきました。その結果、6月12日に成立した第二次補正予算では、困窮学生への給付10~20万円、小6・中3を対象とした教員の加配3,100人、学習指導員の追加配置61,200人、スクール・サポート・スタッフの追加配置20,600人、幼稚園1施設50万円と小・中・高・特別支援学校1校100~500万円の支援経費などが計上されました。

6月は、日本教職員組合結成の月です。1947年の発足から8日で73周年を迎えました。6月はまた、平和を考える月でもあります。23日は、沖縄慰霊の日でした。25日は、1950年に朝鮮戦争が始まった日です。今年は、沖縄返還の日(1972年5月15日)に行われてきた5.15沖縄平和行進が新型コロナウイルス感染症の影響で、1978年の開始以来、初めて中止となりました。毎年全国から多くの組合員、特に青年層が中心となって参加してきた平和行進でした。想いは2021年へ繋げていきたいと思います。
私たちは、沖縄が戦後75年を経た現在もなお、国土面積の約0.6%に米軍専用施設の約70.3%が集中し、米軍人・軍属等による事件・事故や航空機騒音、発がん性や人への毒性が指摘されるPFOS(ピーフォス)による水質汚染等の環境問題に晒されていることや、沖縄の民意と自治を蔑ろにして名護市辺野古への新基地建設がすすめられている現実をしっかりと直視していく必要があります。
戦争終結75年の節目を迎えた沖縄慰霊の日は、今年も「平和の礎(いしじ)」そばの平和記念公園の平和の広場で行われました。「礎」は、国籍や軍人・民間人の区別なく戦没者の名前を刻んだ石碑で、鎮魂と平和への祈りの場となっています。沖縄訪問の際には、地上戦で人々が避難場所として身を潜め、集団自決に追い込まれるなど多くの悲惨な出来事も起こったガマ(洞窟)とともに、「平和の礎」を必ず訪れてもらいたいと思います。
玉城デニー知事の平和宣言に次の文言がありました。
「ここ平和祈念公園には、国籍や人種の別なく戦争で亡くなられた全ての方々の名前を刻む『平和の礎』があります。礎の前で、刻まれた名前をなぞりながら生きていた証を感じ、いつまでも忘れないとの祈りを寄せる御遺族の姿は、私たちの心に深々(しんしん)と染み入ってきます。
 平和の広場の中央には、被爆地広島市の『平和の灯(ともしび)』と長崎市の『誓いの火』から分けていただいた火と、沖縄戦最初の米軍の上陸地である座間味村阿嘉島で採取した火を合わせた『平和の火』がともされております。私たちは、人類史上他に類を見ない惨禍を経験されたヒロシマ・ナガサキと平和を願う心を共有し、人類が二度と『黒い雨』や『鉄の暴風』を経験することがないよう、心に『平和の火』をともし、尊い誓いを守り続ける決意を新たにします。
 そして今こそ全人類の英知を結集して、核兵器の廃絶、戦争の放棄、恒久平和の確立のため総力をあげてまい進しなければなりません。」

梅雨空が続く毎日で、大雨による災害が心配されます。
今年は郡市・都道府県・全国など各種の大会や発表会が中止となりました。子どもたちの悔しい想いややるせない気持ち、涙を思うと残念でなりません。
それでも次への新たな一歩となるよう、学校再開からすすんでほしいと思います。

紫陽花に 落つる雫は 児の泪

日本教職員組合
中央執行委員長  清水 秀行

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