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障教ネットの髙松真理子さん(福岡県教組)がグローバル障害サミットに参加
2025/04/08

4月2、3日とグローバル障害サミットがベルリンで開催され、EI(教育インターナショナル)派遣団の一員として参加した障教ネット(障害のある教職員ネットワーク)の髙松真理子さん(福岡県教組)のお話が、日本教職員組合が加盟するEIのホームページに掲載されました。
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障害のある教職員のエンパワーメント
私が勤務する大島は、神湊港からフェリーで25分の距離にあり、周囲は約15km、人口は約700人です。四方を海に囲まれ、豊富な水産資源に恵まれた、漁業が盛んな島です。大島の学校は小中一貫校で、私はそこで美術を教えています。生徒数は、1年生から9年生まで37人の小規模校です。生徒数が少ないので、子どもたちを海に連れて行き、船の絵を描いたり、山寺に連れて行き、放し飼いの鶏の絵を描いたりしています。また、お祭りで使う山笠の法被も家庭科の先生とコラボし、家庭科で形を、美術でステキなデザインを作り、世界でひとつの法被を作ります。島の子どもは島を愛しているのがわかる作品を作ることが多いです。
私は37歳の時、脳梗塞の後遺症で左麻痺の障害者になりました。復帰する時、家族以外の誰もが復帰に反対しました。頭の中でてんびんにかけ、復帰して辛いか楽しいかと考えたら、楽しいだろうと思う方に少しだけ針が触れました。それに、無理だという管理職などは、なにが無理なのか分かっていないのではないかと気づきました。それは、私自身が自分の限界を分かっていなかったからです。とりあえず復帰して、無理だったらやめようと思いました。最初から諦めたら悔いが残ると思ったのです。発病当初は失語症がありましたので、言語教室に行って訓練もしました。今、振り返ると、あの時仕事を辞めずに良かったです。
日本教職員組合は、2013年に障害のある教職員ネットワーク(障教ネット)を立ち上げ、今年で13年目です。障教ネットには、私を含めた運営委員の5人と日教組事務局の4人がいます。毎年11月に開催される「障害のある教職員ネットワーク全国大会」に向けて、運営委員会を年に3回行っています。
このネットワークには3つの長所があります。一つめとして、全国大会が重要な学習機会になっていることです。例えば、障害のある教職員が直面している課題について研究者から話を聞いたり、障害者の法定雇用率について学んだり、視覚障害のある方が大学院に進んで研究されるなど障害に関するさまざまな課題にとりくんでいる方のお話を聞きました。これらの話はどれも役に立ち、参考になりました。
二つめとして,全国から障害のある教職員が集うことによって、各県の情報が得られ、自分の悩みや職場の課題について共有でき、他の教職員の困りごと、喜びを聞けることです。障害のある教職員として、ひとりではないと感じられ、連帯感が得られ、元気がでます。
三つめは、文部科学省への要請に行けることです。障害者のある教職員が、どんなことに困っているのか、どこを改善して欲しいのかを政府の方々に直接お話しできる機会があることは、大変有意義だと思います。また、身体障害だけでなく、精神障害の教職員も障教ネットに登録されたことは,障教ネットの広がりにつながる明るいニュースです。
国連の教職に関するハイレベルパネルが提出した重要な勧告など、国際的な政策の進展も心強いものです。勧告第10条では、「政府は、人員計画から始めて、特に弱い立場にあるグループや社会から疎外されたグループに関して、教職員の公平性、多様性、インクルージョンを推進するための政策や措置を策定すべきである」と述べられています。これはまさに、私たちが当局に求めていることです。勧告第16条では、「教育の変革の中で、教員に対するアイデンティティ、尊厳、敬意の根源も変わらなければならない。教員はもはや単なる知識の提供者ではなく、インクルーシブで効果的かつ適切な学習を推進することで、学習者を自己発見のプロセスに導くという重要な役割を担っている」と述べられています。学校には障害のある子どももいます。そういった子どものためにも、障害のある教職員が学校にいることには意味があります。この勧告にはインクルーシブでゆたかな教育のために教職員組合が果たす重要な役割に関する多くの条文が含まれています。
これからもっと多くの人たちに障教ネットを知ってもらえると良いと思います。そして、障害があっても、働きやすく、障害があっても、子どもたちが学び、成長できるインクルーシブな社会になるように、事務局の方々と一緒にがんばっていきます。
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