談話

中教審「答申」に対する書記長談話

2024年08月27日

日本教職員組合書記長 山木 正博

 

 本日、中教審は「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について (答申)」(以下、「答申」)を文科大臣に手交した。5月に公表した「審議のまとめ」同様、長時間労働是正にむけて現場の声をもとに日教組が求めてきた「日教組7つの提言」からは、ほど遠く不十分である。一方、具現化のための工程表が示されたことは一歩前進であり、まずは国・自治体ともに財源確保や人の配置などをすすめ、工程表を実現させることが重要である。その上で、国の責任において、確実に勤務時間が減っているか、また、教職員の安全配慮と健康福祉確保がされているかを、19年給特法改正時と同様に3年後を目途に調査を行い、さらなる改善を行うべきである。

 「答申」では、時間外在校等時間20時間未満に至るまでのスケジュールを示さなかったが、「答申」を受けた文科省こそが、達成するための具体策を明確にし、計画性をもって誠実に実行すべきである。また、教員を確保する観点から処遇の改善も盛り込まれたが、処遇改善の手法は適切と言い難いものの、日教組が長年求めてきたことであり実現が求められる。働き方改革の推進や処遇改善には十分な予算が必要であり、来年度予算における教育予算確保は喫緊の課題である。

 

 働き方改革の実現には、業務削減と教職員定数の改善が不可欠である。「答申」では十分にふれられていない「学習指導要領における標準授業時数の見直し」や「部活動の地域移行」は、業務削減に直結する課題であり、国の責任において直ちにすすめられなければならない。業務削減や持ち授業時数軽減につながる教職員等の計画的な配置増も不可欠である。また、現場実態と乖離している給特法の廃止・抜本的見直しは、避けて通れない。

 

 「審議のまとめ」へのパブコメに1万8千を超える意見が寄せられるなど、学校の働き方に対し社会的な関心の高さがうかがえる。長時間労働が要因の一つとされる教職員不足は、全国に大きな問題となっており、子どもの学習権が脅かされている。

日教組は引き続き、長時間労働を是正し、子どもたちのゆたかな学びの保障と教職員のいのちと健康が守られる、持続可能な学校の実現をめざし全国連帯で運動を強化していく。

以上

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