談話
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の成立に対する書記長談話
2025年06月11日
日本教職員組合書記長 山木 正博
本日、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律が成立した。学校の働き方改革の推進にむけて、時間外在校等時間を今後5年で月平均30時間程度に縮減するための具体的方策や、中学校35人学級について附則に書き込まれたことは一定評価するものの、処遇改善については、現状の勤務実態に見合うものとは到底言えない。また、今改正においても給特法と労基法のずれを解消せず、給特法の廃止・抜本的見直しに至らなかったことは極めて遺憾である。
課題として、計画が確実に実施されない場合や上限時間超えへの罰則がないこと、教職調整額を段階的に引き上げる一方で廃止・減額・加算する手当等があること、教職調整額段階的引上げの適用外の職種があることや、新たな職の創設とそれによる業務過重の懸念、持ち帰り業務の増加や記録の改ざん等も危惧される。さらには、教員だけでなく、子どもへの負担が大きい教育課程についても、学習指導要領の内容の精選や標準授業時数の削減をすすめるべきである。
今後、すべての教育委員会で業務量管理・健康確保措置計画が策定・公表され、首長部局や都道府県教育委員会、地域とも連携をはかりながら、学校の働き方改革がすすめられることになるが、各自治体財政によって学校間・地域間格差の更なる拡大や、労働基準監督機能の強化についても課題である。国は、法律に基づき、業務削減のための方策や教職員定数改善を早急かつ誠実にすすめることが責務であり、課題の解消にむけた財政支援や措置を確実に行わなければならない。また、給特法については、問題点や課題について、国会審議においても多数言及されていることから、「時間外在校等時間20時間程度に縮減するまで」先送りすることなく、速やかに廃止・抜本的見直しにむけた議論を行わなければならない。
目標は、時間外在校等時間月平均30時間ではなく、中教審答申で掲げられた20時間を直ちに達成するだけでなく、勤務時間内に業務が終わることである。そのため、法制化された業務削減策やスタッフ職を含む教職員定数改善を確実かつ速やかに実行させ、各教委・学校で策定される計画を完遂させることが重要である。
日教組は、持ち帰りも含めた正しい勤務時間の記録のもと、見せかけの縮減とさせないとりくみを強化するとともに、引き続き、真の学校の働き方改革を実現させるため、さらなる業務削減、教職員定数改善、給特法廃止・抜本的見直しを求めとりくむ。
以上