談話
文化庁「文化部活動の地域移行に関する検討会議提言」に対する書記長談話
2022年08月09日
日本教職員組合 書記長 山木 正博
本日、文化庁「文化部活動の地域移行に関する検討会議」(以下、文化庁検討会議)は、「文化部活動の地域移行に関する検討会議提言~少子化の中、将来にわたり我が国の子供たちが文化芸術に継続して親しむことができる機会の確保に向けて~」(以下、文化庁提言)を文化庁長官に提言した。
6月にスポーツ庁から出された提言同様、少子化がすすむなか、子どもの文化芸術に親しむ環境について「学校の文化部活動だけでは支えきれなくなっている」とし、「学校単位から地域単位での活動に積極的に変えていく」ことで、子どもたちが継続的に文化芸術に親しむ機会の確保や学校の働き方改革の推進をはかるとしている。そして、改革の方向性として、休日の文化部活動から段階的に地域移行し、23年度の開始から3年後の25年度末を目標時期とした。
日教組は、文化庁検討会議に対して意見書を提出し、部活動については学校の働き方改革と子どもの権利保障の観点から社会教育に移行すべきであり、基盤整備のための自治体等への支援、子ども・保護者・学校等、当事者への丁寧な説明と周知などを国の責任で行うよう求めた。
スポーツ庁の提言に続き文化庁提言でも、文化芸術団体等多様な実施主体による子どもの志向や状況に適した機会の確保、必要な予算の確保、指導者の質の保障・量の確保、大会のあり方や運営の見直し、経済的に困窮する家庭への支援、学習指導要領の次期改訂における見直し等が盛り込まれた。これらは、子どもたちの最善の利益を実現するための環境整備に資するものであり、運動部活動・文化部活動ともに地域移行の推進が示されたことは評価できる。
今後、「受け皿」となる実施主体や施設等の確保、持続可能な活動とするための指導者等に対する労働対価は不可欠であり、そのための国による予算・財源の継続的な確保策を示すべきである。また、地域の実態に即し、当事者の声を反映しながらすすめることが重要である。さらに、ガイドラインの改訂において、子ども・教職員等の健康保持、人権を守る視点がこれまで以上に盛り込まれることが必要である。