談話

袴田事件再審における無罪判決確定に対する書記長談話

2024年10月10日

日本教職員組合書記長 山木 正博

 

 1966年に当時の静岡県清水市(現在の静岡市清水区)で一家4人が殺害された強盗殺人放火事件について、袴田巌さんの再審判決が9月26日に行われた。静岡地裁(國井恒志裁判長)は「1年以上みそに漬けられた場合に血痕に赤みが残るとは認められず『5点の衣類』は事件から相当な期間がたった後、捜査機関によって血痕を付けるなど加工され、タンクの中に隠されたものだ」と述べ、証拠の捏造だとして袴田巌さんに無罪を言い渡した。そして、10月9日、検察側が控訴権を放棄したことで、袴田巌さんの無罪が確定した。検察側は10月8日の談話の中で、強い不満を表明しているが、無罪である袴田巌さんが58年もの間、不当な扱いを受け続けていたことは断じて許されない。

 

 日教組はこれまで、部落解放中央共闘会議とともに、狭山事件における石川一雄さんの無実を訴えてきた。石川一雄さんが無実を叫び続け、すでに61年が経過した。現在、第3次再審請求へのとりくみが行われており、弁護団の鑑定と新証拠としての提出が予定されている。現在、大きな山場を迎えており、11月には狭山事件の再審を求める市民集会も開催される。弁護団の求める東京高裁による事実調べの実施にむけ、世論を最大限に大きくしていく必要がある。

 

 冤罪事件は明らかな人権侵害である。現行の再審法では、再審における証拠開示の制度が定められておらず、無実を訴え続けている人々が犯人であるとされ、不当な扱いを受け続けている。また、裁判所が再審開始決定を行っても検察官が不服申し立てをすることで、再審裁判が長引いている現状がある。こうした状況は、あらゆる人の人権を脅かす可能性があり、検察側の抗告禁止や裁判所による事実調べの実施など再審法の改正が早急に必要である。

 

 日教組は引き続き、部落解放中央共闘会議と連携し、石川一雄さんの無実を訴え続けるとともに、冤罪事件によって何十年も苦しみ、差別を受け続けてきた人々の思いを受け止め、あらゆる差別や排除を許さない社会の実現にむけて、とりくんでいく。

 

以上

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