談話

関電高浜原発1、2号機の新規制基準適合決定に対する書記長談話

2016年04月22日

関電高浜原発1、2号機の新規制基準適合決定に対する書記長談話

 2016年04月22日

 日本教職員組合書記長 清水 秀行

原子力規制委員会(以下、規制委員会)は4月20日、関電高浜原発1、2号機について、「新規制基準を満たしている」として、運転延長・再稼働にむけた「合格証」にあたる審査書を決定した。今回の決定は、40年超の老朽原発の稼働を最長20年まで認める初めての決定で、東電福島第一原発事故をふまえて、運転期間を40年に制限した改正原子炉等規制法の規定をなしくずしにするものであり、強く抗議する。

規制委員会の審査では、原子炉や原子炉建屋などの耐震性チェックは改修工事後に後回しとされ、新規制基準への対応も方針や計画が認められたに過ぎない。運転延長には、さらに老朽化のチェックや耐震工事の計画の認可等が必要になるが、今年7月7日には運転満了を迎えることから、規制委員会は、運転延長ありきで審査を急いだとしか考えられない。老朽原発では、放射線による原子炉脆弱化や建屋強度の低下など検証困難な課題も多い。可燃性ケーブルの安全対策も交換は6割、残りは防火シートで覆うとされている。基準値振動も高浜3、4号機と同等の700ガルにとどまっており、今回の熊本地震が1580ガルを記録したことを考えると極めて低い基準である。また、相当の費用を投入した改修工事後に、耐震性が問題にされ運転延長が反故になるとは考えられない。審査書の決定によって安全性の審査が終了したとは言えず、40年超の老朽原発の運転延長・再稼働を許すことはできない。

大津地裁は3月9日に、稼働中の高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた。新規制基準に照らしても過酷事故の起こる可能性があるとの指摘は重要である。熊本地震後、稼働中の九電川内原発の運転停止を求める意見が、原子力規制庁に多数寄せられた。これまでの経験則を超える地震に、原発事故の恐怖を感じるのは当然である。また、東電福島第一原発事故から5年が経過したが、いまだ復興はすすまず、放射能汚染物の処理、廃炉の見通しもたっていない。

政府は「エネルギー基本計画」において、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、原発回帰の原子力発電推進姿勢を明確にしている。老朽化している高浜原発1、2号機を運転延長によって再稼働させるということが現実となれば、他の老朽化している原発の運転延長の拡大も懸念される。

高浜原発1,2号機は、40年の運転満了をもって廃炉とすべきである。日本教職員組合は、「核と人類は共存できない」との立場を再確認し、経済よりも人命を優先する脱原発社会の実現をめざし、今後とも平和フォーラム・原水禁とともにとりくみを強化していく。

以上

 

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